• 駒大は3年ぶりの東京トーナメント制覇=味の素フィールド西が丘で(嵜田将礼撮影)

  • 同点弾を決めた荒木駿太(写真左)

  • ラストプレーで同点弾を奪った中村一貴は得点後真っ先にベンチへと向かった

  • PK戦の末勝利し、GK松本の元に駆け寄る駒大イレブン

延長後半ラストプレーで中村が値千金の同点弾!‼︎PK戦で法大を下し、3年ぶり東京制覇で天皇杯本戦へ‼︎!

[サッカー部](2021年05月10日 20時51分)

第26回東京都サッカートーナメント 決勝・法大戦が5月9日、味の素フィールド西が丘で開催された。結果とメンバー(駒大のみ)は以下の通り。

【スコア】
☆駒大2-2法大
PK(4-3)

【得点者】
14分:[法]中井 崇仁
51分:[駒]荒木 駿太
94分:[法]中川 敦瑛
110+2分:[駒]中村 一貴

【メンバー】
GK
1 松本 瞬[4年=前橋育英高]

DF
2 桧山 悠也[4年=市立船橋高](→78分 4 岩本 蓮太[4年=長崎総科大附高])
3 會澤 海斗[4年=水戸商業高](→75分 28 小針 宏太郎[2年=鹿島Y])
5 相澤 佑哉[3年=熊本Y]
6 猪俣 主真[4年=三浦学苑高]

MF
7 荒木 駿太[4年=長崎総科大附高]
12 宮嵜 龍飛[4年=駒大高](→87分 23 小島 心都[2年=湘南工科大附高])
14 島崎 翔輝[4年=国際学院高](→延後前 11 中村 一貴[4年=駒大高])
20 仲田 瑠[3年=長崎総科大附高](→HT 17 篤 快青[2年=広島県瀬戸内高])

FW
10 土信田 悠生[4年=高川学園高]
15 米谷 拓海[4年=駒大高](→HT 9 宮崎 鴻[4年=前橋育英高])

【SUB】
GK 21 深澤 颯人[3年=武南高]



この試合がもし無観客試合でなかったら、会場はどんな熱気に包まれていただろう。緊急事態宣言下でこんな"たられば"は禁物かもしれないが、そう思わざるを得ない、凄まじい死闘だった。

9日は全国各地で気温が上がり、キックオフ時間の14:00には会場の北区西が丘も30度に迫る気温を記録していた。決勝の相手、法大は今季公式戦無敗。関東大学リーグ1部でも5節終了時点で首位を走っており、開幕戦で1-3と敗戦を喫している相手だ。

試合は、法大に先制点を献上する厳しい立ち上がりに。14分にゴール前に放り込まれたボールを、猪俣主真が頭でクリアしたものの、ダイレクトボレーで詰められて失点。それでも、前半の被シュートはこの1本のみ。一貫して法大のペースだったが、持ち前の粘り強さで追加点を許さず0-1で試合を折り返す。

後半は米谷拓海に替えて宮崎鴻、仲田瑠に替えて篤快青を頭から投入。すると、立ち上がりからペースを掴む。51分には、荒木駿太が相手陣でボールを奪取すると、宮崎とのワンツーで突破。右脚のキックフェイントからドリブルでペナルティエリア内に侵入し、左脚でゴールネットを揺らした。早い時間に試合を振り出しに戻し、勢い付いた駒大はここから怒涛の反撃。荒木のドリブル突破や、土信田悠生のヘディングから再三ゴールに迫るが90分で決着はつかず、試合は20分の延長戦へ。

延長戦では立ち上がりの4分にまさかの失点。序盤で法大に再度リードを許してしまう。それでも駒大イレブンには「俺たちの方がやってきた」という確固たる自信があった。誰一人諦めることなく同点を信じて攻め続け、迎えた延長戦ラストプレー。時間は既に20分を経過していた。GK松本瞬が放ったゴールキックを宮崎が頭でそらすと、こぼれた球が延長後半から途中出場の中村一貴の前に転がる。中村は直前のプレーで負傷した左脚を振り抜いて執念の同点弾を奪ってみせた。直後に試合終了のホイッスルが鳴り、中村はピッチに倒れ込んだ。試合の結末はPK戦へと委ねられることに。

PK戦は両チーム2人目のキッカーまで成功。しかし、先攻の駒大は3人目が失敗。だが法大も3人目が失敗し振り出しに。駒大は最後のキッカーが決めると、法大は失敗。PK戦にまで及んだ死闘は4-3で決着がつき、見事東京都代表の座を掴んだ。

試合後、秋田監督の口からは「みんな頑張った」と選手たちを労う言葉が溢れた。およそ2週間後に迫る天皇杯第1回戦では、2018年度卒のOB、安藤翼擁するSC相模原と対戦。秋田監督は「プロってすごいんだなも一つだし、プロとやってこのくらいやれるんだなとか、色々な感覚を勉強して欲しいし、学んで感じて欲しい」と話した。

3年ぶりの天皇杯で快進撃を見せられるか。駒大スタイルを引っ提げ、全国の舞台へ殴り込みをかける。



◆秋田浩一監督
ーー今日の試合を振り返って
「東京都の代表になれて良かった。選手は毎週リーグ戦をやっていたし、特に法政はリーグ戦の初戦で3-1で負けていたし、関東の中ではトップのチームなので対等かもしくは走り勝てれば先に自信がつくかなと思ってスタートした。運良く追いつけたし、という感じ。最後まで諦めないでやるというのが一つできたので、今後の試合へのステップアップになればと思う」
ーー後半に宮崎選手と篤選手が入ってリズムが生まれたと思うが
「(普段使っている)中盤の江﨑(巧朗)がリーグ戦で脳震盪を起こしてしまったので、大事をとって3週間やらせていないので、仲田か篤かどちらか迷ったが上級生なので仲田を使った。ダメだったらすぐ替えるよ、ということを篤にも言っていたので。今日はそっちの方が良かったのかもしれない。宮崎鴻は予定通り。彼もちょっと怪我というか、体はいろいろあるので、先発よりは相手がバテてから行ってくれた方が、もしかしたらパワーを発揮できるのかなという感じなので、ここのところは後から行っている」
ーー3年振りの本大会出場だが、3年前のチームと比べて
「3年前の方が能力が高い子たちが多かったのかなと思うが、チームとしてはこちらの方がまとまっているし、特に4年生がたくさん出ている分、最後の年だしチームや仲間への思いが強いのではないかと思う」
ーー監督から見た同点ゴールのシーンは
「徹底してやってくれていたので、観ている人にとっては悪いと思うがうちのやり方の一つなので良かったと思う。中村一貴はもうすぐ教育実習に行ってしまうので、そういうのもあって一仕事してくれたなと思う。よく決めたし、あそこでよく競ってゴールまで行けたなという感じ。狙い通りというか、駒澤らしい得点だったと思う」
ーートーナメントを通して成長した点は
「戦う姿勢や粘り強さは出てきたと思う。それと自分が何をしなければいけないか、自分がどういうプレイヤーで何をすることがチームのためになるかということを少しずつ理解して、自分の良さとチームの貢献度について、多少なりとも分かってきてやってくれていると思う。際立った選手がいないので、余計そういうことを徹底しないとと思う」
ーー本戦ではプロのチームを相手に戦うが
「アマチュアにとっては、公式戦でプロとやれるのはこの大会しかない。「プロってすごいんだな」も一つだし「プロとやってこのくらいやれるんだな」とか、色々な感覚を勉強して欲しいし、学んで感じて欲しい」


◆猪俣主真(歴4)
ーー駒澤らしさが出た試合だと思うが
「最後まで諦めないだとか、球際で戦うだとかそういうところをすごく大事にしているチームなので、苦しい時間帯でも最後までみんなで声を掛け合って、諦めなかった結果が出たのかなと思う。そういうところは駒大らしさが出た」
ーー相手の前線はかなりテクニカルな選手が多かったが
「プロ内定している選手や、高校年代でテレビで見ていたような選手たちがいる中で、自分たちがビビって引いてしまうと流れもあっちに行くだろうし、自分たちが勝てれば良い流れの試合ができると思っていたので、強気で挑んだ」
ーーリーグ初戦で法大に敗れた時の感触は
「自分たちのやってきたことが出せなかった試合だった。ビビってしまって、ラインも下がってしまって、コンパクトにできずに間延びしてしまったりした。今回は入りがそうなりかけていたが、途中から改善できて、ボールに行くところだったりを合わせることができたので、途中からちょっとずつ良い流れも増えてきて、そんなに簡単な試合ではなかったが勝てたので良かった」
ーー3年前の先輩に到達したが
「先輩たちが一回ここに来ているので。その次のザスパ草津戦で敗退してしまって、自分もベンチで見ていて悔しい思いをしたので、そのリベンジというところでも、(1回戦の)SC相模原に3年前の先輩の安藤翼さんがいるので、そこも面白いところだと思うし、プロに勝つという目標もあるのでチームとして全力でぶつかってチャレンジしていきたい」
ーーこのチームの特徴は
「やっぱり強さとかがある。前線の選手は土信田だったり宮崎だったり米谷は高さがあって強さがあるので、そこを活かしてやれれば自分たちの流れでできると思う。走力というところでも、自分たちは練習から頑張ってきていると思っているので、そこが特徴だと思う」


◆荒木駿太(市4)
ーー今日の試合を振り返って
「先制された中で、みんなしっかり落ち着いて駒澤のサッカーをやれていたと思うし、それで後半に1点を返すことができた。それでまた決められても最後まで諦めずに戦ったということであの同点があったと思う」
ーー得点シーンを振り返って
「宮崎鴻とワンツーをして、最初は右脚で打とうと思ったが自分の体勢や相手を見て、左側が空いていたので。左側に持ち込んでシュートというのは最近練習でしていたことだったので、練習通りになったかなと思う」
ーー試合後の涙が全てだと思うが
「みんなに感謝しかない。自分が(PKを)外してめちゃくちゃやばいと思っていたが、キャプテンだったりみんなの「大丈夫、絶対勝てるから」という声もあってあの勝利だったので、自然と涙が込み上げてきたという感じだった」
ーー本戦は駒大OBの安藤翼選手のいるSC相模原と戦うが
「駒大の先輩がいるということで、みんなめちゃくちゃ燃えている。プロとできる試合も天皇杯しかなくて、プロにも駒澤のサッカーが通用するということを示していきたいと思う」


◆中村一貴(経4)
ーー同点ゴールのシーンを振り返って
「正直あまり覚えていない。日頃の練習からFWが競った後のこぼれ球を狙って、ひたすら行き続けると言った練習を自分がBチームの頃からずっとやっていた。今はいないが、岩本コーチというコーチがいて、その人に本当にお世話になった。鍛えられたので、ああいう部分では相手より先に反応して前に行くというところで自然と体が動いた。こういう舞台で結果を残せてとても嬉しい」
ーー延長後半からの出場だったが、どのような気持ちで入ったか
「とにかく流れを変えないと、という気持ち。自分が良いプレーをするというよりも、とにかくチームに勝って欲しかった。自分が入って流れが変わって、チームが勝つということをとにかく意識して、声を出したり守備をしたり自分にできることをやろうと思った」
ーー決めた瞬間の気持ちは
「本当に嬉しかった。チームのために自分が少しでも力になれたら嬉しいと思って戦って、(得点直後は)ベンチメンバーのところに走ったし、チームという感覚が強かった。本当に勝てて良かった」
ーー怪我はいつしたのか
「その前のプレーで相手選手が僕に寄りかかった時に膝が内側に入って、そこからずっと痛かった。ボールがこぼれてきて、蹴ったら痛いだろうなと思ったがとにかくゴールにねじ込もうという感覚でシュートを決めた。入った後は動けなかった。シュートを打った後に更に(痛くなった)という感じ」
ーーPK戦は蹴れなかった感じか
「蹴れなくて、もし(順番が)回ってきてしまったらあれなので、抜けますというふうに言った」
ーー大学でのゴールはいつ以来か
「初ゴール」
ーー試合に出たのは
「7試合目くらい。去年リーグ戦に少し出させてもらって、今年はリーグ戦1試合」
ーーその経験を活かして今年どのようにやっていきたいか
「チーム目標でインカレ日本一というのがあるので、そこをぶらさず、言うだけなら簡単だが行動も共に着いていけるように。日本一と言ったからには日本一になれるようにみんなで行動して、練習から意識高くやっていきたい。それに向けて天皇杯で東京都代表になるという目標は叶えられたので、これで満足せず目標を一個一個叶えて、最終的に今年最後のインカレでチームの集大成を見せられれば良いかなと思っている」



なお、天皇杯第1回戦は5月22日(土)、レモンガススタジアム平塚にて13:00からSC相模原と対戦する。

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