• 立正大は23日23:00まで駒大戦を戦った後、翌10:00から中大戦を行った=神宮球場で(中川達夫撮影)

東都大学野球運営の舞台裏 立正大の23:00試合終了→翌10:00試合開始はなぜ起きたのか

[硬式野球部]東都大学野球春季1部リーグ(2019年06月15日 13時20分)

東都大学野球春季1部リーグが5月24日閉幕した。東洋大が2季ぶり20回目の優勝を果たしたリーグ戦の最終盤に、立正大が中11時間で試合を行い、話題となった。

 東都大学野球は今季から1日3試合制になり、連日ナイトゲームが行われた。5月23日は3試合全てが3時間半を越えたことや、第2試合終了後にこの日優勝を決めた東洋大への優勝旗・優勝杯授与が行われたこともあり、第3試合の駒大対立正大が終わったのは23:00。立正大が勝利し5位以上を確定させたが、試合後、翌日の10:00から未消化として残っていた立正大対中大3回戦が行われることが発表された。中11時間で再び試合を行うことになり、立正大ナインは苦笑い。立正大・坂田精二郞監督も「学生にとっては良い経験になるのでは。精神的に強くなれると思うので、前向きに捉えていきたい」と言うしかなかった。
 第3試合は元々17:00開始予定だったため、立正大ナインは夕食を取っていなかった。ナインは23:30頃神宮球場を出発したバスの中で食事を済ませ、日付の変わった24日1:30頃、埼玉県熊谷市の寮に到着。各自洗濯などを終えると、ミーティングも省略して就寝した。翌朝は2時間半程度の睡眠で再びバスに乗り込み、神宮球場へ。車内では「ほとんどの人が寝ていた」(根本郁也主将)そうだ。
 立正大は24日の試合でスタメン8人を変更し、主力を並べた中大に2-6で敗れた。根本主将は「(翌朝試合があることは)1日3試合になった時からある程度予想できていた。調整などの経験を秋に生かしたい」と話すと、「帰ったら寝ます」と笑ってバスに乗り込んだ。
 慌ただしかったのは東都大学野球連盟も同様で、学生を含む連盟スタッフは各自の終電等に合わせ、バタバタと帰宅。23日8:00に出勤した瀬尾健太郎事務局長が神宮球場を出たのは16時間半後の24日0:30頃で、翌朝も7:40に出勤する多忙ぶりだった。

 選手や連盟スタッフの体調にも影響しかねない中11時間の試合はなぜ起きたのか。瀬尾事務局長によると、第5週の3回戦か、未消化ゲームを24日10:00から行うことは事前に決まっていたという。本来未消化ゲームは中1日以上空けて行う決まりだが、「日程が詰まっていて、その週で終わらせたい思いはあった。水曜日(22日)の監督会で(3回戦が行われなかった場合)未消化ゲームを金曜日にやろうと取り決めてくれた」と話す。駒大対立正大以外のカードが2回戦で決着がついたため、23日第3試合開始前の時点で、翌日は駒大対立正大3回戦か立正大対中大3回戦のどちらかを行うことに。だが、第3試合も長い試合となり、2回終了が20:30になったことで、翌日の試合を
・試合開始を1時間遅らせ、11時から行う。
・選手の体調を考慮し、中止にする。
の2つの案が浮上。神宮球場、24日18:00から神宮球場で中日戦が予定されていたヤクルト球団とそれぞれ協議した。だが、ヤクルト球団との協議が難航したようだ。「ヤクルトさんも東都の試合がある前提で出る時間を遅くしたり、中継車を融通したりしてくれていた。中止にはできなかった」と瀬尾事務局長。また、神宮球場でのスワローズの練習も14:40からと決定済みで、試合開始時刻を変更することもできなかったという。監督会の取り決め事項だったこともあり、結局予定通り10:00試合開始と決定。5回終了後に駒大、立正大両ベンチと中大に伝達した。「中大さんもわかってくれて、23時まで結果を気にしながら準備してもらった」と言う。

 リーグ戦を終え、瀬尾事務局長は「3試合制は全体的にはいいチャレンジだったと思う」と振り返る。入場券の売り上げは神宮球場のみで約2000枚増。「ゴールデンウイークがあったとはいえ、お客さんは来てくれた」と手応えを掴んでいる。
 一方、来季に向けてなぜ試合時間が長引いたのか検証を行う。「準備投球のルール変更が理由なのか、それとも単に東都の試合が長いのか。東京六大学野球や首都大学野球などと比較しながら検証しなければいけないと考えている」。

 今季の3試合制は「まずは春にやってみて、改善点を秋に生かす」(昨年11月監督会後に取材に応じた亜大・生田勉監督)部分も大きかった。瀬尾事務局長も「今季を踏まえて秋はどうやろうか。1年間を終えてどうだったか、来年どうしようか、とやっていく」と話す。昨冬結論が先送りになったタイブレーク制導入の検討も含め、監督会などで議論を行う予定だ。

 なお、駒大スポーツはヤクルト球団にも取材を申し込んだが、「日程的な問題もあり、取材に対応できない」とのことだった。

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