全日本大学駅伝連覇!! 出場選手にインタビュー(後半)

[陸上競技部](2021年11月12日 13時43分)

秩父宮賜杯 第53回全日本大学駅伝対校選手権大会が11月7日、愛知県・熱田神宮から三重県・伊勢神宮の8区間 106.8kmで行われた。駒大陸上部は6区・安原太陽(地2)と7区・田澤廉(経3)の追い上げで先頭に立ち、アンカー・花尾恭輔(商2)がそのまま1位でゴール。前回大会に続く連覇で、全日本の優勝は通算14回目の単独最多更新を果たした。
優勝を受けて、心境や自身の走りの振り返りなどを駅伝に出場した選手に聞いた。後半では5区・東山静也選手、6区・安原太陽選手、7区・田澤廉選手、8区・花尾恭輔選手へのインタビューを紹介する。
(駅伝後、別日に電話取材を行った。)


◆5区・東山静也(地2)
――優勝した感想は
「ベストメンバーではなく主力が欠けているなか、正直優勝できると思っていなかったので非常に嬉しい」
――初めての三大駅伝となったがどうだったか
「初めてだったので緊張するかと思ったが、あまり緊張せずリラックスしてできたことがよかった」
――自分が5区だと聞いたときの心境は
「まさか自分が三大駅伝を走るとは思っていなかった。最初は、走るってなった時は緊張したが、徐々に実感が湧いてきて、自分がやらないといけないと思った」
――自身の走りはどうだったか
「上級生としての走りができず、下級生任せになってしまったのが課題」
――当日の調子は
「アップの時は結構動いたが、本番になると1km時点からきつく、やばいなと思った」
――レースプランは
「前が見えていたら追ってついてラストで離すというのがレースプランだったが、全然できなかった。もっと練習しなければいけないと思った」
――2連覇がかかっていたことへのプレッシャーはあったか
「連覇というのはあったが、プレッシャーというのは、自分の走りをしなくてはいけないというのはあった。プレッシャーは全然感じてなかった」
――タスキが渡ってきた時、走り出す時に考えていたことなどは
「走りはじめは東洋大が抜きん出ていたから、追いつこうと思っていた」
――事前アンケートにおいて、注目してほしい点を「ラストスパート」としていたが、実際にラストスパートは成功したと考えているか
「あまり成功したとは言えない」
――全日本にむけ、練習で「距離をたくさん踏んだ」と語っていたが、その練習の成果が出た結果となったか
「練習で距離を踏んだが、レースではそれを発揮できなかったのではと自分で思う」
――今回の2連覇達成において、キーポイントになったのはどこか
「6、7、8区」
――チームメイトの走りについてどう感じたか
「初めての駅伝で、赤星選手や佐藤選手が上位の順位で走っていて、自分はもう少し頑張らなければと思った」
――他大学の選手の走りについてどう感じたか
「他大学の選手は、全員がベストな走りを見せて強いチームを作っていた。自分はまだそこに加勢できていないと思った」
――箱根に向けて改善したいところは
「箱根はもっと距離が伸びるので、スタミナ作りだったりをしていかなくてはと思った」
――入学時のインタビューにおいて「区間賞を取ってみたい」と語っていたが、その目標は変わっていないか
「変わっていない。駅伝に出場できたので、次は区間賞をとってチームに貢献できるようにしていきたい」
――箱根への意気込みを
「今の段階では個人として出られるかはわからないが、出られるなら今度こそチームに貢献できるようにしたい」


◆6区・安原太陽(地2)
――優勝した感想を
「チーム全体として3位以内というのを目標にして今回挑んだが、流れも良く、優勝することができてよかった」
――自身の走りについて
「出雲では悔しい結果になってしまい、前半突っ込んで後半ペースが上がっていかないというような走りをしてしまった。そこをしっかりと反省して今回の全日本では、前半落ち着いて入って後半上げていくというレースを意識して走った」
――自分が6区だと聞いた時の心境は
「聞くまでは前半区間になると自分の中では思っていたが、後半の重要な区間に置いてもらったのでそこでしっかり自分をアピールできるような走りをしようと思った」
――当日の調子は
「調整からずっと調子が良かったため、自信を持ってスタートラインに立つことができた」
――レースプランは
「前半落ち着いて前は見えていたが、そこまで深追いをせずに自分のペースで行き、後半しっかり上げていこうというレースプランだった」
――タスキが渡ってきた時、走り出す時に考えていたことは
「前とは結構差があったが、3校4校ぐらいはしっかり追いつこうと思った」
――今回の2連覇達成においてキーポイントになったのはどこか
「1番最初の1区で区間賞を取ってくれたので、そこの勢いが大きかったと感じている」
――区間2位で5人抜き、走りながら考えていたことは
「走りながら途中で監督から『4校は追いつこう』と言ってもらったので、そこを意識しながら自分のレースをしていった」
――レース中の監督の言葉は
「3、4校は必ず追い抜いていい位置で田澤さんに渡せと言われた」
――現地の加藤コーチから、安原選手が「攻めの走りをします!」と言っていると聞いたが、それは成功したか
「常に攻めた。途中(の区間で)順位がどんどん落ちていってしまったので、そこから4位3位を目指していくには攻めていかなければいけないと思っていた。そこで攻められたから5人抜きができたと考えている」
――出雲の結果を受けて改善してきたところと箱根に向けて改善したいところは
「出雲は気持ちが先に行ってしまい、突っ込みすぎたというのが1番大きかったのでそこを改善してきた。箱根は距離が伸びて20km以上になるので、スタミナ面での強化と中盤にしっかりとペースを落とさず走っていくというのを課題としてあと1ヶ月の中で調整していきたい」
――出雲、全日本と個人としていい結果が出ていると思うが、その要因は
「今シーズンに入ってからあまり大きな故障がなく、練習が継続して行えているということが1番大きな要因だと思っている」
――今年の春夏の調子は
「今シーズンずっと怪我をせず練習を積めていたので、そこまで調子を落とさず走れていた」
――トラックシーズン前半は「スタミナ面での弱さがあった」と話していたが、それを克服するためにしてきたことは
「夏合宿での走り込みで距離に不安があったので、不安を少しでも減らすために特に夏合宿の距離走を集中して行った」
――自身の走りの強みや特徴は
「レースに向けての調整力、レースの中での集中力」
――他の2年生の活躍については
「(駅伝)初めての選手が2人前半にいて、(2区)青柿はちょっと失敗してしまったが、(4区)赤星はいい流れを作ってくれたので、そこから徐々に流れが変わっていったと思っている。花尾も最終区でしっかりと粘って引っ張って最後優勝してくれた。そういう部分で、2年生は良い選手が非常に多いのではないかと思っている」
――2年生全体の雰囲気は
「夏合宿の頃まではみんな調子が良くて、(鈴木)芽吹(営2)、唐澤(拓海、市2)を先頭にすごく意識が上がっていたが、夏合宿が終わってから故障者が増えて不安はあった。主力選手がいない中でもしっかり頑張ろうという強い意識を持って、日々生活していたから2年生が活躍できていると思っている」
――この先の目標は
「まずは出雲、全日本では区間賞を目標にしていたがそれができなかったので、箱根ではしっかりと自分自身で区間賞を獲る。チームで、確実に箱根で優勝する、というのが今シーズンの目標」
――箱根への意気込みを
「個人では区間賞、チームとして優勝する」


◆7区・田澤廉(経3)
――優勝した感想は
「今回はベストメンバーじゃないので優勝できると思ってなかったが、前の走者の安原から流れが変わったことによって、自分がここで一番に躍り出れば、と思った。良い駅伝の流れがあったから優勝することができた。ベストメンバーではない状態の中で優勝ができたということはすごく大きな価値があると思うので、嬉しい」
――自身の走りを自己評価すると
「流れをまた自分が良い感じに変える走りができたと思うし、(タイムも)区間新まであと少しだったというところで考えると、良かったのではと思う」
――自分が7区だと聞いたときの心境は
「当初3位以内というのが最低目標だったので、優勝を狙うとしたら自分がアンカーになると思うが、安定性や絶対に3位を取るのだというところで自分が7区に起用された。7区でできることと言ったら少しでもアンカーに良い形でつなぐことだと思うので、そういった仕事をしようと思った」
――当日の調子は
「良くもなく悪くもなく、いつも通りといった状態だった」
――レースプランは
「安原が良い状態で持ってきてくれたので、自分のところで先頭までは1分30秒弱はあって、自分の力だと1番までいけるのではと思っていた。だから、最初から突っ込んでいって、前に出るというプランだった」
――現地の加藤コーチから、田澤さんが「全員抜きます!」と言っていると聞いたが、やはりそこには自信があったのか
「はい。自信はありました」
――2連覇がかかっていたことへのプレッシャーなどはあったか
「なかった。もともと優勝ではなく3位以内というところに目標をおいていた。ベストメンバーではなかったり、色んな不安があったりしてこんな目標になってしまい、また、直前で3位以内と目標が変わってしまったので、そんなにプレッシャーはなかった」
――タスキが渡ってきた時、走り出す時に考えたことなどは
「全員抜いてやろうと思っていた。自分がエースの走りをしなくてはならないと思ったし、後輩が良い走りをしてくれていたので、後輩に負けないようなエースとしての走りをしようと思っていた」
――青学大の近藤幸太郎選手について ずっとついてくることに対してどう考えていたか。後ろとの差があまりないことには気が付いていたか
「後ろとの差がないことは全然分からなかったが、別についてくることについてはどうとも思っていなかった。自分が負けるわけがない、日本人の選手には絶対負けないという自信があるので、ついてきてもどこかで引き離すかどうにかしようと思っていた」
――前と37秒、その前とは22秒という監督の声は聞こえたか。それを聞いてどう走ろうと思ったか
「ああ、もう縮まってきているな、と思った。このくらいの距離だったら勝てるんじゃないかな、とそこで改めて感じた」
――今回の2連覇達成において、キーポイントになったのはどこか
「安原のところでちょっと変えてくれて、自分のところに良い形で持ってきてくれたので、本当に安原の走りは今回の全日本優勝の鍵というかポイントになったと思う」
――他大学の選手の走りについてどう感じたか
「ぼちぼち他の大学でも良い走りをしている選手はいたが、そもそも学生界をあまりライバル視していないというところがあって、他のところはあまり見ていない。目標がそこではないので」
――前年度主務の青山(尚大)さんも現地にいたと思うが、どんな会話をしたか
「いつも通りの『おお、来たぞー』『お前だったらいけるよ』みたいな、当時マネージャーをやっていた頃のような声掛けをくれた」
――出雲の結果を受けて改善してきたところと、箱根に向けて改善したいところは
「出雲で5位という結果になってしまった理由には、自分(田澤)頼みになっていたというところと、一人ひとりが責任ある走りができていなかったというところだと思うので、そうした点を全日本までに改善した。箱根までには、今回主力メンバーが何人か落ちていた状態だったので、主力メンバーがしっかり戻ってきた段階で、一人ひとりが責任ある走りをして、主力頼みになるのではなく、しっかりと自分が走るんだぞという気持ちを全員が持てるようになることが大切だと思う」
――田澤さんご自身は箱根の2連覇には自信があるか
「主力が戻ってくれば全然あり得ると思う。戻ってこなかったらちょっと厳しいかなとも思うが、そこも全日本みたいに流れを作ることができれば分からないと思う」
――箱根への意気込みを
「箱根では優勝、最低でも3位以内を目標に走り、個人としては区間賞をとる走りをしたいと」


◆花尾恭輔 (商2)
――優勝した感想は
「今回の全日本は、本来走らなきゃいけない選手が走れなくて、優勝ではなくて3位入賞というのが目標だった。優勝できると思っていなかったので本当にびっくりしているし、うれしかった」
――自身の走りはどうだったか
「追い付かれると分かっていたので、追い付かれてからが勝負だと思っていた。しっかりロングスパートで相手を離してゴールできたのがよかったかなと思っている」
――当日の調子は
「当日の調子は(特別)よかったわけでもないですし、まあまあといった感じだった。普通というかいつも通り」
――レースプランは
「『自分の走りをしてこい』と監督に言われていたので、自分の走りに集中してレースに挑むことができたと思っている」
――8区を任されたときに、第一に何を思ったか。自分は何区になると予想していたか
「もともと7区か8区の長い区間になるというのは分かっていて、田澤さんからなども話を聞いて自分がアンカーになるのかなというのは薄々感じていた。去年田澤さんがアンカーとしてしっかりゴールテープを切ってくれたので、今年自分が任されるということで責任は感じていた。長い区間は今後も走ることになると思うし、将来のことも考えるとマラソンとかもやりたいので、長い区間をやるのは良い経験になると思っていた。やるしかないなと考えていた」
――2連覇がかかっていたことへのプレッシャーなどはあったか
「2連覇というのはあまり意識していなくて、まさかのことが起きたなと思った」
――走り出すときには何を考えていたか
「追い付かれるだろうなというのは分かっていて、負けなければいいかなという感じだったので、走り出したら勝負に徹していた」
――最後のインタビューで「タスキがみんなの汗でびしょびしょになっていた」と言っていたが、チームメイトの汗で重くなったタスキを受け取ったときに何を感じたか
「2年生が今回多く走っていたが、同級生が走った汗だったり、ここまでつないできてくれて、持ってきてくれたという想いだったりを感じ、自分がしっかりゴールテープを切ろうと改めて思った」
――青学大の飯田貴之選手とずっと並んで走っていて、引き離すならどこだと考えて走っていたか
「特に何も考えていなかった。タスキをもらうときに(後ろの青学と)18秒の差があったが、それを一気に追い付いてきて、並んだときには『ああ、これ勝てるな』と思った。自分は、スパートはじわじわ上げていくのが得意なので、少しずつペースを上げていって、感覚でラスト2kmくらいでスパートをかけることになった」
――最後のインタビューで花尾選手が「前に出したくない、後ろに引いたら負けと思っていた」と語っていたのがとても印象的だった。解説でも後ろについていた方が楽だと言われていたが、なぜその戦略を選んだのか
「(自分は)長崎出身で、高校の時とかも強い選手が多くいて、後ろに下がる走りをしていた時に自分は絶対負けていた。それもあって、後ろに下がるとペースも落ちるし、相手に有利な流れになってしまうので避けたいと思っていた。攻める走りで自分の走りをして、流れを作りたいと考えていた」
――1位と2位のゴール差が8秒差というのは史上最短らしいが、最後まで迫ってくるのはやはり怖かったか
「2kmで仕掛けたのでいつ追い付かれるか分からないし、ラストスパートは相手の方もあるかなと思っていたので、ラスト700mくらいは怖さや不安も感じていた。それでも、いけるかなというのは思っていた」
――現地の加藤コーチから、花尾くんが「初めての大仕事を楽しみます」と言っていると聞いたが、実際に楽しんで走ることはできたか
「実際は全然楽しめてはいなかった。不安と、いつ追い付かれるか分からないという恐怖を感じながら走っていた。でも、ゴールしたら監督の顔が一番はじめに目に入ってきて、すごく喜んでいるのが見えた時の嬉しさの方が強かった」
――花尾選手はハーフマラソンでも好記録を残しており、今回の全日本に向けてもスタミナ作りをしてきたとアンケートでも答えてもらっていたが、スタミナにはどれだけ自信があったか
「夏合宿でもしっかりとできていたし、出雲が終わってからも走り込みをしていたので、元々スタミナという部分には自信があった。走り込みがしっかりできたかなと思う」
――放送を観ている限りでは、花尾さんは走り終わった後もしっかり立つことができていたように見えたが、実際の疲労はどのくらいだったか
「テレビではあまり映っていなかったが、倒れこんだりもしていた。でも、気持ちの部分での疲れの方が大きかった」
――両手ピースでゴールテープを切っていたが、ピースするというのは決めていたのか
「全く決めていなかった。そもそも1位でゴールするとは思っていなかった。2連覇の2でピースだったが、ゴールのときにその場で出た感じ」
――優勝したあと、監督になんと声をかけられたか
「監督はずっとヒヤヒヤしていたみたいで、見ていた人たちもずっとヒヤヒヤしていたのだろうなと思った。監督からは『お前よく頑張ったな』みたいな感じで、すごく褒めていただいた」
――今回の2連覇達成において、キーポイントになったのはどこか
「最初は1区の(佐藤)条二が1位でダッシュしてくれたんですけど、途中下がったりもして、4区の赤星(雄斗)が流れを変えてくれて、6区の安原が順位を上げてくれて、田澤さんがトップで持ってきてくれたという、流れが後半になるにつれて良くなってきたところ。2年生の頑張りが大きかったかなと思う」
――出雲の結果を受けて改善してきたところと、箱根に向けて改善したいところは
「箱根に向けては距離もまた伸びるし人数も増えるので、一人ひとりが長い距離に対する不安がなくなるのが一番良いが、去年みたいに全員でつないでいける駅伝ができたらいいなと思っている。出雲からは全日本までは、後半の3区間については監督も『自信があるメンバーだから』と言っていたし、『しっかりつなげば』という想いをみんなが持っていた。我慢して、粘ってつないでくれたと思っているので、本当に全員でつないだ駅伝ができたと思う」
――箱根への意気込みを
「昨年度の箱根は自分の走りが良くなくて、前と離される結果になり、チームにはきつい思いをさせてしまった。今年の駅伝の自分の目標は、自分の走りでチームに貢献するということ。箱根でもそれをしっかり実行できたらいいなと思っている」

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