【紙面連動企画】2連覇に突き進め!M高史の箱根展望

[陸上競技部](2021年12月25日 16時54分)

 いよいよ目前に迫った箱根駅伝。ものまねアスリート芸人のM高史さんに、連覇を狙う駒大の展望を伺った。駒大OBのM高史さんは在学中に主務として陸上競技部を支えた。コマスポ箱根号には載せきれなかった文などをお届けします。


Q1,箱根の全体を通した展望は
・超戦国駅伝
 前回の箱根王者で今年の全日本も制した駒大はメディアでも戦前の予想で優勝候補に挙げられていますね!ただ、ライバルチームも超強力です。1万メートル28分台が23人と厚い選手層を誇る青学大、スーパールーキー石田洸介選手も加入し毎年箱根にコンディションを合わせてくる東洋大、出雲で初出場初優勝を飾った東国大、東京五輪入賞の三浦龍司選手を擁する順天堂大、1万メートル27分台の選手を3人揃える早大、ここでは書ききれないほどです。

・鍵は今年も山区間か
 往路から遅れることができないので、各校が惜しげもなく往路からエースを投入してくるでしょう。その上で復路にも力のある選手を残すことが出来る選手層も求められます。さらに鍵は山上り5区、山下り6区になってくるかなと。山区間は持ちタイムでは測れない新ヒーローが誕生しやすい区間です。ここでノーマークだった選手が快走を見せるとチームに勢いをもたらすでしょう。おそらく3位から12位くらいまでは終盤までもつれる大混戦になると予想されます。故障者が発生しベストメンバーが組めないなど、思うようにいかない区間が2〜3区間あるだけで優勝候補でもシード権争いにたちまち転落してしまう超戦国駅伝。逆に戦前の予想で上位にあがっていなくても、しっかりコンディションを合わせてきた大学は前回の創価大のように快走をみせる場合も大いにありえます。


Q2,駒大の戦力分析と順位予想を
・駒大を総合優勝と予想します!OBということで期待も込めて(笑)
 三大駅伝初戦となった出雲は5位でしたが、全日本では主力の鈴木芽吹選手(営2)や唐澤拓海選手(市2)を欠く中で優勝ということで、チャンスを掴んだ選手たちがここにきて伸びてきている印象です。
 大エースの田澤廉選手(経3)は12月4日の日体大長距離競技会1万メートルで27分23秒44の日本人学生記録を更新。チームにも勢いをつけてくれましたね!全日本でアンカー勝負を制した花尾恭輔選手(商2)も関東インカレ2部ハーフマラソン2位、出雲でも3区を任されるなど、ロードでの強さを発揮し、頼れる存在です!
 心配されていた鈴木選手も練習に復帰しているようですし、唐澤選手も世田谷246ハーフ、学連記録挑戦会と徐々に調子も戻しつつあるので、いよいよ箱根に向けて陣容も揃ってきています。


Q3,駒大の注目選手とその選手の注目ポイントは
・安原太陽選手(地2)
 出雲は2区3位で三大駅伝デビュー。全日本では6区2位、5人抜きで逆転優勝に向けて流れを変えた安原太陽選手。トラックでもラスト400メートルを60秒切ってくるラストスパート、ロードでの安定感など、注目したいです。
 滋賀学園高時代は一本歯下駄トレーニングを取り入れ、体幹やバランスも強化。土台となる体作りを高校時代にみっちりやってきたことも、走りの強さや安定感にもつながっているのかもしれません。

・佃康平選手(法4)
 前回の箱根では8区4位と粘りの走りをみせ総合優勝に貢献した佃選手。ロードでの強さ、長い距離への安定感、遊行寺の坂でみせたように上り坂への適正など、距離が長くなり区間によっては起伏も激しい箱根においては心強い存在です。


Q4,駒大で期待の1年生と注目ポイントは
・篠原倖太朗選手(地1)
 篠原選手がまだ高校1年生の冬頃、富里高(千葉)に部活訪問に伺ったことがありました。当時は5000メートル15分一桁がベスト。その際に当時の顧問で駒大陸上部OBでもある北原慎也先生が「将来面白そうだから、大学に入ってから伸びるように高校では伸びしろを残しています」と将来を見据えたご指導をされていたのが印象的でした。高校時代のベストは5000メートル14分36秒でしたが、駒大入学後、急成長。日本インカレ5000メートルでは全国の強豪相手にラスト1周で仕掛ける積極性もみせ堂々の2位(13分48秒57)。出雲では1区も任されました。注目のスピードランナーです。

・佐藤条二選手(経1)
 篠原選手と同じく千葉県出身で、市立船橋高時代から5000メートル13分台をマークしていた佐藤選手。5000メートルの自己記録も13分40秒99まで伸ばしてきました。全日本では1区に抜擢され堂々の走り。中央大の吉居大和選手ら並み居るスピードランナーを振り切り区間賞を獲得。スタートから良い流れを作りました。今年の1年生を引っ張る期待のルーキーです。

・《来年以降に期待!》田丸颯選手(営1)
 駒大高出身の田丸選手。実は僕もよく駒大高へ部活訪問に伺っていたので、高校時代をよく見させていただきました。彼の持ち味は積極性、自分でペースを刻めることやロードへの適正、そして内に秘める闘志です。トラックでのスピードはチーム内でも目立たないかもしれませんが、世田谷246ハーフではコース後半にキツい上り坂もある中で1時間04分30秒と初ハーフながらしっかり走りきりました。


Q5,他大学の注目選手とその選手の注目ポイントは
・三浦龍司選手(順天堂大)
 なんといっても東京五輪3000メートルSC7位入賞の三浦龍司選手でしょう。出雲は欠場しましたが、全日本では2区区間賞と別格の走りでした。三浦選手の出走区間にも注目が集まります。もし1区に登場した場合はかつての徳本一善さんや大迫傑さんのように飛び出しを見せる可能性もありますし、集団でレースを進めたとしても各校とも三浦選手の出方をみてくるでしょう。また他の区間の場合は全日本のようなゴボウ抜きも見られるかも。順大・長門監督の采配、区間配置にも注目です。

・丹所健選手(東国大)
 東国大といえば、イェゴン・ヴィンセント選手の驚異的な走りが目立つと思いますが、今年は丹所選手の走りにも注目が集まります。出雲、全日本ともにチームをトップに押し上げる好走。ロードでの強さ、1人でハイペースを刻んでいく強さも光ります。


Q6,箱根のコースの特徴(ほかの三大駅伝との比較)はどのようなものがありますか?
・距離が長く、10区間ある
 出雲(6区間45.1km)、全日本(8区間106.8km)に比べて箱根は10区間217.1kmと距離が長いです。1区間が全て20km以上ということでハーフマラソンを走りきるスタミナが求められます。
※高校駅伝は7区間42.195km。実業団のニューイヤー駅伝は7区間100km。
 また、近年は選手のレベルアップ、スピード化が進み、スタミナとともにハイペースで押していくスピード持久力もより求められるようになってきました。
それに加え、出雲は6区間、全日本は8区間ですが、箱根は10区間。選手層の厚さも求められます。チームの8番手から13番手くらいまで誰がメンバーに入るか甲乙つけがたいといったチームは強いですね!

・山区間がある
 箱根駅伝の特徴でもある急坂を駆け上っていく5区。そして逆に凄いスピードで駆け下りていく6区。この山区間が箱根の魅力の一つでもあります。山上りといっても実際は最高点から下りになりますし、山下りはその逆で最高点までは上ってそこから一気に下流ので、そういったスピードの切り替えにも注目です。


Q7,(駒澤以外で)注目大学とポイント
・國學院大学
 前田康弘監督は駒大OB。箱根駅伝で駒大が初の総合優勝を飾った時の主将です。僕が学生の頃は駒大でコーチもされて、大八木イズムを選手としてもコーチとしても体感された方でもあります。僕も主務時代に大変お世話になりました。また、石川昌伸コーチも駒大OB。僕の同級生で4年間ともに汗を流した仲です。
 だから忖度しているわけではありませんが(笑)今年の國學大も注目しています。エース格の藤木宏太選手、中西大翔選手を中心に、11月に箱根5区の前哨戦ともいわれる激坂最速王決定戦で学生トップとなった殿地琢朗選手。山下りの経験もある島﨑慎愛選手。全日本8区区間賞の伊地知賢造選手。ルーキーで出雲、全日本とエース区間を任された平林清澄選手。出雲2区で区間賞を獲得した主将の木付琳選手と各学年のバランスもよく、山区間も強力なので、箱根でも注目の1校です。大八木監督と前田監督の師弟対決となるでしょうか!


Q8, M高史流の箱根駅伝の楽しみ方とは
・情報をチェックしながらテレビ観戦
 今回も応援自粛、無観客開催ということで、テレビやラジオで応援という形になりますね。テレビ観戦のお供に駒大スポーツのTwitterをはじめ各種SNSで情報チェック、日本テレビの箱根駅伝速報サイトなどで情報をチェックしながらするとより一層お楽しみいただけると思います。

・運営管理車からの檄
 駒大名物というか箱根名物ともいえる運営管理車からの大八木監督の檄!
 その檄の元となる情報は同乗する主務が素早くまとめ、監督に必要な情報をお伝えします。主務は選手の通過タイムを車内から計測しつつ、寮で待機している部員やOBたちと情報を共有し、正確で最新の情報をまとめます。いまの区間順位、過去の先輩との通過タイム比較、前後との差をいち早く収集して声かけポイントの前までに整理して監督にお伝えします。伊藤聡汰主務をはじめ、マネージャーの皆さんも選手の走りを支えています。


Q9, 主務時代の箱根駅伝の思い出
 3年生、4年生と主務の2年間は運営管理車に大八木監督と同乗させていただきました。
決められたポイントごとに大八木監督が選手に指示・アドバイス(檄)をマイクで伝えることができるのですが、4年生の時にアンカーだったのは同級生の治郎丸健一くん。10区の後半、同級生に車内から必死で声援というか叫んでいたところ大八木監督から「お前が言っていいぞ」とマイクを手渡してくださいました。主務はたくさんの経験をさせていただき、しんどかった毎日でしたが、大八木監督の愛情、優しさを深く感じました。
 レース後、治郎丸くんに聞いたら沿道の大歓声で僕のマイクの声は全然聞こえなかったそうですが(笑)


M高史
駒大陸上競技部に入部し2年間主務を務めた。卒業後は福祉施設勤務を経て、ものまねアスリート芸人に転身。川内優輝選手のそっくりさんで、マラソンの自己記録は2時間40分34秒。

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