• 後半89分、2点目のゴールを決める山崎雅人(国士大)=テグ市民運動場で(岩田陽一撮影)

  • ロスタイムにだめ押しの3点目を決めた堀健人(順大)

モロッコ相手に快勝!! 決勝はイタリアと対戦

[ユニバーシアード2003]サッカー男子準決勝 日本VSモロッコ(2003年08月28日 22時00分)

試合は中国戦同様いきなり動いた。5分、前田が右サイドのスペースに走り込むとなかへセンタリング。これを山崎がニアサイドでうまくあわせ先制。しかし、前半はこの1点だけ。「モロッコの中盤が予想以上にうまくてボールをどこで取るか迷った」(岩政)というように試合が進むにつれモロッコが攻め始める。しかし、「最後の場面でセンターバックとゴールキーパーがよく踏ん張ってくれた」(西田監督)と言うように守備陣が奮闘し、前半は1-0で折り返す。
 後半、日本の中盤が機能し始めると9分に田代、17分に前田がそれぞれチャンスを作り出す。初スタメンの中後も徐々に機能し始め随所に好プレーを見せ始める。均衡が続くなか74分、再三チャンスをつくった前田にかえ原を投入。追加点を狙いに行く。「耐えていれば必ず流れは来ると思った」(堀)というように迎えた88分。山崎が前がかりになったモロッコディフェンスの裏を突き完全にGKと1対1。これを冷静に決め2-0と試合を決定づける。ロスタイムにも同じような展開から堀がだめ押しの3点目を決め、守備陣もきっちりとモロッコの攻撃をシャットアウトし決勝進出を決めた。
 「ついにここまできたという感じですね」試合後、キャプテンの岩政は決勝へ立てる喜びをかみしめた。2連覇と騒がれながらも「決定力不足」などに悩まされ、前回の優勝チームと比較されてきたユニバーシアード日本代表。しかし、「試合をするごとに成長していった」(西田監督)というように強化プランが思い通りに進まなくても数少ない試合の中から選手達はいろいろなものを吸収していった。今日の試合も「苦しい時間帯に落ち着いて点をとってくれた。そのへんが選手達のすごいところ」と監督も選手達の成長に手応えを感じている。その選手達がついに発足当時の目標である決勝の舞台に立とうとしている。「彼らはまだまだ成長段階。決勝でも思い切ってやってくれるでしょう」(西田監督)と期待をこめた。ユニバーシアード最後の試合、彼らがどんな成長をとげるのか注目したい。
(サッカー班・内田浩嗣)
■選手・監督コメント
◆西田裕之日本代表監督
「終わったばっかりで実感がないですけど、成長しながらようやく来たなという感じです。ホッとしたというのが本音ですかね。でも、せっかくここまできたのだから輝きのいいメダルを獲って帰りたいと思います。チームはまだまだ成長段階。まだまだ良くなると思いますよ。ただ決勝もいい試合をしてくれると思います。今日の試合は序盤、狙い通り相手の背後をつけて点もとれたんですけどそれがあまりにも早すぎて残り時間が難しかった。モロッコは気分的にムラがあるんですけどやるときはやるんでしっかり集中してやることを選手達には伝えました。危ないシーンもありましたけどあっちのシュートの下手さに助けられました(笑)。それにセンターバックとキーパーできちっと最後止めていた。攻撃に関しては苦しい時間帯に落ち着いて決めてくれました。そのへんが選手達のすごいところでしょう。選手達も決勝はイタリアということで思い切ってやってくれるでしょう。決勝はユニバ最後の試合を楽しみたいと思います」

◆岩政大樹(東京学芸大学)
「ついにここまできたなというかんじですかね。苦しい試合をものにしたので充実感もありますし。モロッコは思った以上に技術があって戸惑ったんですけど、過去にもこんな戦いをしてたんで辛抱強く守ろうといったらその経験が活きたのかしっかり守れましたね。前の試合、1-0を守りきれなかったのでこの試合は守備陣が踏ん張って1-0で勝とうといっていたのでそれが達成できたのはこの試合だけでも成長出来たかなと思います。個人的な出来は軽いプレーがあったので国際試合ではあんなプレーをしていたらいけないと思うので反省してやりたいと思います。ただ、0に抑えられた結果とチームをまとめられたことは良かったかなと思います。今のところ筋書き通りにきていて、なにより今大会にはいって自分自身もチームも楽しんで出来てしるので最後も楽しみたいと思います。(対戦相手はイタリアですが?)僕は昔からイタリアのサッカーが好きなので対戦相手としてはベストだと思いますよ。決勝はチームで今までやったことをすべて出して個人としてもいろんなことにチャレンジしてみんなで最高の喜びを味わいたいと思います」
◆堀健人(順天堂大学)
「率直にうれしいです!前半はすぐに点がとれたんで良かったんですけど前半は完全にモロッコペースだったと思いますよ。でも、オランダ合宿でもこういう試合を経験していたんで我慢すれば絶対こっちに流れが来ると思って耐えて耐えて頑張ろうと思っていました。ゴールはもう相手が前がかりになっていたんでムラさん(村山)にボールがはいった時点で狙ってました。決勝は今までやったことをすべてだして優勝したいと思います! 」
◆山崎雅人(国士舘大学)
「このチームは決定力不足だと言われていたんで有三と2人で点を取りたいと思っていたんで良かったです。普通にやっていたらうちは守備が強いんで点をとれば決勝までいけると思ってました。点を取りたかったです。今日の得点は外して決めたんでチャラチャラぐらいです。全部決めれたらいいんですけど。今日はすっごく守備したんでいって守りきるって感じじゃなくて狙えたら裏を狙うという感じだったんで有三が競ったらその裏でボールをうけて絶対に決めようと思ってました。決勝ではハットトリックぐらいして優勝したいです」
■今日のヒーロー/中後雅喜(駒澤大学/3年)
 初スタメンとなったこの試合。序盤は久々の試合でやや持ち味を発揮出来ずにいたが、後半なんどとなく得意のロングパスで決定機を作り出す中後、その存在はやはり大きかった。大会開幕当初はケガのため欠場を余儀なくされたが、この日田中の負傷もありスタメン出場。随所に好プレーを見せてくれた。駒澤の司令塔から日本の司令塔へ。彼の足から繰り出される一本のパスがユニバーシアード2連覇へ導いてくれるに違いない。
◇28日19:00◇サッカー男子準決勝◇テグ市民運動場
日本代表 3-0 モロッコ代表
(1-0)
(2-0)
得点者(アシスト)
【日】5分:山崎雅人(前田雅文)
【日】88分:山崎雅人(村山祐介)
【日】89分:堀健人(田代有三)

メンバー
GK[1]塩田仁史(4年)
DF[2]村山祐介(4年)
DF[13]江添健次郎(3年)
DF[5]岩政大樹(4年)
DF[3]川端和哉(4年)
MF[6]保坂一成(3年)
MF[7]中後雅喜(3年)
MF[11]堀健人(3年)
MF[16]前田雅文(3年)←74分・原一樹(1年)
FW[10]山崎雅人(4年)←88分・兵働昭弘(3年)
FW[9]田代有三(4年)
MANAGER
西田裕之
GK[16]モウタサディク
DF[2]ティル・ジャラル
DF[4]アラオウィ・マダギリ
DF[5]ネジミ・マメド
DF[18]アラ・ハッサン
MF[7]ベンタフリット
MF[8]ケラジ
MF[20]ラオウニ・バダル
FW[9]エリレッチ
FW[11]ムラベス←79分・[6]チュポ・モハメド
FW[14]モウグリ←66分・[12]エルムトウニ

警告(C)/退場(S)
【日】22分:河端和哉(C)、39分:村山祐介(C)、52分:前田雅文(C)、河端和哉(S) 【モ】28分:エリレッチェ(C)

[シュート]9:20、[決定機]5:4、[枠内シュート]4:5、[CK]3:2、[FK]0:0、[オフサイド]5:1、[ファール]23:10、[主審]エスファタハニアン(イラン)

■その他の注目競技/女子サッカーは決勝に進出!!相手は北朝鮮 →詳細
 勝負をあきらめない、その姿勢が実った。前半早々に2点のリードを許したものの39分に近賀ゆかり(日本体育大学・1年)が1点を返すと後半、途中交代の北本綾子(東京女子体育大学・2年)が2得点と大活躍。強豪・中国を4-2で破り堂々の決勝トーナメント進出を決定させた。

発行冊子最新号一覧背景(左)

ユニバーシアード2003の前後のニュース

発行冊子最新号一覧背景(右)
発行冊子最新号一覧背景(左)

前後のニュース

発行冊子最新号一覧背景(右)