• 4年間ともに過ごしてきた(左から)小倉、白崎勇、友滝=駒沢大学で(野木聡介撮影)

  • エースとして活躍してきた白崎勇。卒業後は社会人野球に進みさらに腕を磨く

  • 中継ぎとして投手陣を支え安定感ある投球を披露した小倉

  • 今年から野手に転向し攻守に力を発揮した友滝

4年間の日々~隠された真実~vol.2

[硬式野球部]特別対談(2012年01月30日 20時53分)

 投手と野手―。DH制をとる東都大学野球リーグでは「投打がかみ合う」ことが勝利の必須条件。今回は戦国東都を戦い抜いた硬式野球部最上級生の投手陣、野手陣それぞれの対談を2日間に渡ってお伝えします。

 2組目は下級生のころからリーグ戦に登板してきた白崎勇気(営4)、小倉元平(営4)と3年時まで投手としてプレーし、今年は野手としてチームに貢献した友滝健弘(政4)。この3人に今季を振り返っていただくとともに、4年間の思い出や苦悩について伺った。
※なお、本取材を行ったのは12月中旬です。

――4年間を振り返ってみて、嬉しかったことは?
小倉元平(以下、小倉)僕はプレーをしてる中でとか試合の中で嬉しかったことだとか喜びっていうのは本当に少なくて、本当にうまくいかないことばっかりで、できれば振り返りたくないなっていう思い出の方が多いけれど、やっぱり、4年間ずっと通してこういう仲間に出会ったりとか、みんなと一緒に野球をできたのが1番嬉しかったかなぁ。
白崎勇気(以下、白崎):俺はねぇ、こう、友滝とか、松尾とか奥野とかが試合に出てるのが嬉しかった。同じピッチャー陣だったから。なんか、ピッチャーをやめて野手にいっても試合に出れるっていうその才能みたいなののが、同じピッチャー陣として誇りを持てたよね。「俺らのピッチャー陣すごくね!」みたいな。俺らの代、1番身体能力ない2人が(ピッチャーに)残ったけど。
――そうなんですか?
白崎勇:そうなんだよ!みんなセンスがあったからね。
小 倉:やっぱり野手に転向できる人ってセンスがあるからね。
白崎勇:俺らは不器用だからピッチャーしかできないの。
――友滝さんは4年間を振り返っていかがでしたか?
友滝健弘(以下、友滝):そうですね、ピッチャーやったり野手やったり、いろいろありましたけど…やっぱり、最後は試合に出してもらって、そういのも嬉しかったです。逆に言えば、白崎とか元平が最後までピッチャーとしてチームを引っ張ってくれて、いいピッチングもしてくれて。それを見て自分も何とか貢献したいなぁと思ったりもしました。
――野手に転向するのを決めたのは独断ですか?
友 滝:正直1年生の時から思っていたんですけど、なかなか決断ができなくて、その…勇気が出なくて。でも、3年の秋のリーグ戦ぐらいから、「やらないと後悔するかなぁ」とか思って、結果がどうあれ、やらないよりやってみようかなと。後悔したくなかったので。自分で決めました。
――逆に、その友滝さんの活躍を小倉さんや白崎さんはどのように見てましたか?
白崎勇:いやー嬉しかったよね。
小 倉:うん。3年の春とか秋までは、僕と友滝のピッチャーとしての役割って結構似ていて、だから、4年でも一緒に頑張るんだっていう気持で僕はいたので、最初に聞いたときは「なんで?」って思ったりもした。僕には最後まで野手になるって言わなかったので。
友 滝:逆に一緒に3年間頑張ってきたんで…。1番に言わなきゃいけないんですけど、やっぱり言いにくくて…。
小 倉:だろうなとは思ってたけど。一緒に4年でも頑張るって決めてたぶん、ショックも大きかったし、友滝が後悔したくないって言うんだったら、それはもう、だったら俺も頑張ろうって思って。

――印象に残っている試合は?
白崎勇:俺はやっぱその入替戦かな、印象に残ってるっていうのは。最近で言ったら、東洋の3戦目とかはもう地獄だったね。あの記憶は…ひどかった。マウンドに立ちたくなかった、初めて。恥ずかしかった、マウンドで投げているのが。悔しいというか、早く変えてくれって思っていた(苦笑)野球人生で初めて。
小 倉:初めてだったなぁ。
白崎勇:投げ方がわかんなくなって。
小 倉:らしくなかったもんなぁ。
――やっぱり、お2人も見ててわかりましたか?
友 滝:ちょっと白崎らしくないというか、こういうこともあるんだなぁ、思って。
小 倉:こんなにも、ってね。
友 滝:でも、白崎におんぶにだっこだったんで、どうにかしてやろうって思ってました。
白崎勇:いやいやいや。そんでね、(友滝は)決勝3ラン打ったりしてね!
友 滝:あれは…ね。(前の守備で)フライ落としたし(笑)
白崎勇:でも今年に関しては、ピッチャー陣は元平が引っ張ってたよ、完全に。
――小倉さんは、春から秋にかけて何か変えたんですか?
小 倉:いや、でもとりあえずなんか考え方とかかな。僕はずっと監督とか周りに生真面目って言われていて。僕はひたすら「うまくいかない、どうしよう」っていうのを考えていただけで、白崎はうまくいかないから、うまくいくにはどうすればいいんだろうっていうのを考えていたんです。それを理解したときに、こいつの考え方がすごいうらやましく思った。だから、マウンド上での気持ちの持ちようだとか、自分にできることはただそれしかないって思ったときに割り切って投げられていたし、気持ちのコントロールとかもできた。白崎にもよく言われたんですけど、白崎とか井口をカバーするっていうんじゃなくて、僕は与えられたところで出るわけだから、それは自分の仕事であって、カバーしようとか助けようだとかは一人一人が精一杯になっているんだから人のことなんか考えられない。その与えられた役割をきちんとこなすことで、チームに貢献できるんだなっていうのを思いながら投げることができました。
――逆に、白崎さんはエースとしてのプレッシャーとかを感じたことはありますか?
白崎勇:俺自身エースっていう固定観念みたいなのないの。今季で言えば、井口がエースだったし。1番勝つやつがエースなんだよ。18番もらっている以上、それに値する働きはしないといけないけど。今季に限っては井口がエースだったね。プレッシャーとかは、無いな。元平も言った通り、自分にしかできないことっていうか、自分にできることをやればいいって思っているから。それがエースだから絶対勝たないととかそういう気持ちはあんまり無い。そこが足りない部分かもしれんけど、エースと思って実力が上がるわけでもない。まぁ「1戦目投げるんだから勝たなきゃいけないなぁ」ぐらいの気持ちでやっていたけどね。

――日大戦で友滝さんがホームランを打ったときは嬉しかったですか?
白崎勇:嬉しかったね。跳ねたもん!マウンドで5回ぐらい跳ねた!
小 倉:頑張っていたもんな。
友 滝:チャンスいっぱいあったけどな、俺それまで(苦笑)
白崎勇:でもねぇ、あのときブルペンで言ってたの。友滝が打てなかったらしょうがないって。言っていたよね?
小 倉:うん。
白崎勇:でも、3回ぐらいつぶしたの。
友 滝:そう、2、3回ぐらいチャンスで回ってきていたんです。
白崎勇:で、元平と「もう(友滝)いくべ!」って言っていて、そしたら本当にいった。
友 滝:もうあのときは本当にあれです!興奮しすぎて、カウントとかどんな感じで何を打ったかとか、走っている間も何も覚えてないんです(笑)

――2010年5月12日の東農大戦で、3人の初リレーがあったんですけど、覚えていますか?
小 倉:2010年って…
友 滝:3年やけん。だって俺、2年の頃投げてなかったもん(苦笑)
小 倉:井口→友滝…?
友 滝:いや、井口→栗林とかじゃない?板木とか。
――そうですね。
白崎勇:そんな乱れた試合あった?
友 滝:でも最後の方は乱れてたよね。で、白崎~後は任した!みたいな(笑)
小 倉:そのリレーがあったんだぁ。
――それが初リレーだったんですよ。
小 倉:そんなのあったんや。
友 滝:初リレーだったんやなぁ。
白崎勇:ていうか、友滝3年春までピッチャーだったんだよね!
友 滝:うん、そう(笑)
白崎勇:俺のイメージはあれ!友滝は最近のイメージがある。野手のイメージ!ピッチャーだったけど。
友 滝:でも最初の頃は絶対違和感あったやろ、見よって。今はこうやって野手やけど。
白崎勇:でも俺、その辺の切り替えめっちゃはやくできたよ。前から悩んでいたの知ってたから。
――そうなんですか?
白崎勇:悩んでいたよね?なんか友滝が追い求めている姿がね、きっと高校の時の自分だったの。そこに追いつけなくてうまく投げられないから、こう、転向したいみたいなのは聞いていたんだよね、うん。俺聞いたんだ、それは。(小倉に)でも多少気づいていたでしょ!?
小 倉:うーん、俺は自分の事で精一杯でしたね。
白崎勇:なんかそういうのもちょっと感じていたから、友滝が野手いくといって野手の方に入ったときも、「そうか。友滝の判断だから仕方ない」みたいな感じで、切り替えがすぐできていたよ。奥野のときもそうだけど。
小 倉:でもそう簡単に野手とかに転向できるものじゃないし、友滝とかを見て「俺もやろう」っていう後輩とかが出てきたら「そんな簡単な気持ちでやるんじゃないぞ」と絶対言いたい。友滝だって、そんなすぐに転向を決めたわけじゃないし、僕が夜にランニングしていて、室内練習場をちらっと見たらバッティング練習をしている友滝を見たりしたし。やっぱ努力はずっと続けてきて今の友滝があると思うので、なんかそういう友滝の表だけの姿を見て「自分にもできるかもしれない」と思うやつがいたら、それは絶対「違うぞ」と言いたい。
白崎勇:頑張っているのが分かるからね。だから、表の姿で活躍できるっていうことは、絶対裏でもやっているから。それで活躍しているところを見たら「あぁ、相当頑張ったんだな」って、その裏の姿を見てなくても分かる。相当やっていたんだなと。上辺で判断するやつはダメ。裏でもやってないと思う。そこしか見てないやつは裏でもやってないし、本当にがんばってないと思う。そんな簡単なことじゃない。

――では、白崎さんと友滝さんから見た小倉さんの長所は?
白崎勇:元平は人柄。元平の周りにはね、いつも人がいる。嫌われないと思う、どこ行っても。敵を作らないというか、嫌いにならない。俺も人とかあんまり嫌いにならないタイプなんだけど、元平ほど仲良くなったやつはあんまりいない。でもこのピッチャー陣は、なんか大人になっても会いたいと思う。
友 滝:元平は、ほんとに人の気持ちが分かるというか、後輩とか同級生にも、色々言ってくれたして、ほんと優しいです。
小 倉:恥ずかしいなぁ(笑)
――では、白崎さんと小倉さんから見た友滝さんの長所は?
白崎勇 恥ずかしがり屋だけど…とりあえず恥ずかしがり屋!真っ直ぐだよね、真っ直ぐ。恥ずかしがり屋で真っ直ぐ!
小 倉:なんか何でも器用にやれるんだけど、でも気持ち的な面はすごく不器用。不器用だけど、気持ちはちゃんと伝わるというか。
友 滝:なんこれ、恥ずかしい(笑)
小 倉:でもほんとになんか一緒に頑張ってきた分だけ、お互いの事を思えるし…いいやつです。
友 滝:(2人に)ありがとう、ありがとう(笑)

――では最後に今後の意気込みを…。まず、白崎さんは社会人野球に進みますが、JR東日本に行く理由は?
白崎勇:名門だからかな。
――では、お2人も
友 滝:まだどこ行くとか就職も決まってないので、あれですね…どういう道に進むにしろ、この駒大野球部で学んだこと、自分でいうと野手転して最後まで諦めなかったらいいことがあるって感じで、最後まで諦めずに社会人であったり、軟式であったり、同級生で野球を続ける人もいるので、そういう人も応援しながら、僕も頑張っていきたいですね。
小 倉:僕はやっぱり、大学野球を通して成長できたことというのは大きなものではなかったかもしれないですけど、その成長を社会で大いに発揮できるように立派な社会人になりたいです。

※「何かポーズをお願いします」の声に、迷わず肩を組んで写真撮影に応じてくれた3人。役割は違えど投打でチームを支えた、固い絆を感じた瞬間だった。

◆小倉元平(おぐら げんぺい)
1989年8月12日生まれ。170㎝70kg。経営学部経営学科4年生。金光学園高出身。1年春からリーグ戦に登板し、貴重な中継ぎ左腕としてチームの勝利に貢献。今秋も中継ぎとして相手打線を抑え、防御率1.26と好投した。

◆白崎勇気(しらさき ゆうき)
1989年12月14日生まれ。178cm74kg。経営学部経営学科4年生。駒大岩見沢高出身。1年春からリーグ戦に登板。3年春からは一戦目を先発し、入替戦でも好投し、チームの一部復帰に貢献した。卒業後はJR東日本に進む。

◆友滝健弘(ともたき たけひろ)
1989年5月31日生まれ。175cm75kg。法学部政治学科4年生。盈進高出身。3年秋まで投手としてプレーし4年春からは野手に転向。今秋の日大1回戦では試合を決める3点本塁打を放ち、勝利に貢献した。

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