【紙面連動企画】見守り支える母〜陸上競技部寮母・大八木京子さん〜
[陸上競技部](2018年12月28日 10時59分)
寮母として24年もの間選手の姿を見守り続けてきた、大八木弘明監督の妻・京子さん。選手への接し方や寮母としての生活、大八木監督のことなど様々なジャンルでの質問を投げかけ、答えていただいた。(聞き手:岡田あおい)
ー寮母として栄養管理などで気をつけていることは
あまり細かくは気をつけていないが、しっかり食べてしっかり走ってもらいたいなと思って作っている。みんなが好きなのは、カレーライスやハヤシライス。カレーの時などは結構量が多くなるが、普段作る量は思っているほど多くはない。1人1合も食べないので45人くらいいても、炊くのはカレーの時で30合くらい。少食の子もいる。一番食いっぷりが良いのは山下(一貴、市3)。ご飯を山盛りで食べる。やっぱり、しっかりたくさん食べてくれると嬉しい。
ー寮母になったきっかけは
監督がコーチ時代に大学に来るようになってから。特に始めるときは違和感もなく、不安もなかった。
ー大変だったことは
(自分の)子どもが小さい時は大変だった。だが寮に(子どもを)連れてきてみんなに遊んでもらったりした。一緒に部屋でテレビを見たり、ゲームしたりしてくれた。子どもが小さいときはとても助けてもらった。
ー1日の食事は
朝は大体、外の近くの人に作ってもらっているので私は週に1回だけ作っている。自分で作るときの朝食は5時過ぎくらいから作り始めてご飯食べるのが7時半なので2時間くらいかかる。夜はもうちょっとかかる。夕食は3時とか3時半から6時半くらいまで作っている。大体マネージャーの子が手伝ってくれる。火を使うのは自分がやるので、果物を切ってくれたり、盛り付けをしてくれたり。味付けとか、調理するのは火を使ったりするので私がやってる。一人ではやはり結構大変だからありがたい。
ー手伝いをしてくれる部員は
1年生とかが大体やってくれる。高校の時に寮生活をしていた子はどうすればいいかが大体分かっているから、てきぱき動いている。もちろん不安な子も最初はいる。だけどみんな3ヶ月くらいで慣れる。「大丈夫かな」と思う子もいっぱいいるが夏くらいには手際がよくなるから安心できる。
ーいつも差し入れが届いているが
毎日に近いくらいの頻度で色々貰っている。OBだったり、後援会だったり、選手の親や親戚やファンの人などが送ってくれる。本当にいろんなところからくれるので、日本各地のお菓子など見ていて面白い。部員の出身のところから送られてきたりとかすると楽しい。あと、毎年OBの子が秋口になるとのど飴とかうがい薬とかを送ってくれる。自分がやってたからこそだなと感じる。差し入れで調理が大変だったのはたけのこ。すごく美味しいがすぐにいたんでしまうので、早く調理しなくてはいけなくて。そういう意味では大変だった。サンマもいっぱい届いた時期があったが、それは監督とか部員でホットプレートを使って焼いて食べていた。
ー『男だろうちわ』が京子さん考案だと聞いたが
あれはもともとOBの安西(秀幸、08年卒)くんが福島で(監督の)還暦のお祝いをやってくれた時に作ってくれた。そのときの出し物というか記念品みたいな感じで。そしたらすごく反響があって、せっかくだから大学名を入れてやろうとなった。あれは監督も気に入っているみたい。
ー家での大八木監督は
選手たちの前とかとは違う。厳しいというよりうるさい(笑)。ちょっと面倒くさいところもある。あっちがいっぱい言ってくるのを受け流している。あの(監督の)性格は受け流さないとやっていけない(笑)。うまく転がさないと。
ー二人の馴れ初めは
自分も駒大生でマネージャーだった。あの人は社会人から駒沢に入ってきたが、大学でやっている時期が重なっていて、同じ大学で4年間過ごした。結婚したのはだいぶ後で、卒業してから企業入って少したってから。もともとマネージャーをやっていたから、寮母になるときもあまり不安もなくできたのだと思う。
ー大八木監督の素敵なところは
あまりないんだけどなあ(笑)。けれど、みんなを一生懸命指導しているところは素敵だと思う。一生懸命やっているなと思う。
ー選手の言動で一番嬉しかったことは
記録会とかで応援に行ったときにいいタイム出してくれたりとか、なかなか走れない時期が続いていた子がいいタイムで走ってくれるとそういう時が一番嬉しい。
ー試合後の選手に何か言葉をかけるか
かけたりすることもあるが、試合とか出ると結果が良い子もいるし悪い子もいる。だからあまり言えない。選手がたくさんいる中、同じようには言えないので気にかけつつ見守る。良い子には「よかったね」とか「ベスト出たね」とか言えるが、一緒に走っているとあまり良くない子も中にはいるから難しい。
ー選手たちの印象は
学年に一人くらいは変わっているなあと思う選手もいるし、おとなしい選手もいる。全体的に今はおとなしい子たちも多い印象。中にはすごく明るい子もいるけど。代によって色も違うし、明るい代やみんなの個性が強い代とかもある。
ーOBの存在は
OBとして寮に来てくれるのは嬉しい。記録会とかで走ってくれているのを見れるのは嬉しい。陸上をやっている子は記録会で見ることができるが、陸上をやめた子が来てくれるとそれもすごく嬉しい。こっち来た時に寮に顔だしてくれるととても嬉しい。
ー2.5冠は京子さんが考えた言葉だと聞いたが
2.5冠は前回の箱根が終わってミーティングの時に言ったのかもしれない。出雲には出られないから、予選会をトップ通過するというのを0.5としてカウントして。前回の箱根であまり良い結果ではなかったから、逆にそういう大きな目標を立ててやっていったほうがいいんじゃないかと思って。低いところからいくのではなくて、公言して有言実行してもらおうと思った。目標を具体的にあげるのとモヤっとしているのとではみんなの頑張りも違う。向かっていくところがあるのとないのとではやはり違うのではないかなと思う。
ーkomadays(駒大陸上部のインスタグラム)を始めたきっかけは
差し入れ等をいっぱい貰っているので、お礼をしたくて。部のパソコンでやると画像が綺麗じゃなくなってしまっていて「どうしようかな」と思っていた。ちょうどその時自分がスマホにして、あまり詳しくないから娘に教えてもらった。画像とかを載せるのは「インスタが簡単なんじゃないの?」と言われて始めた。最初はお礼だとか、身内に向けてやろうと思った。部員のみんなは遠いところから来ているから、子どもたちが元気にしているのが伝わったらいいなと思ってやり始めた感じ。
ー反響は感じるか
時々コメント書いてくれている人もいるし、いろんな人が見てくれてて応援してくれているのかなと思う。
ーこの生活をしていて周りとの違いを感じるか
子どもがいたので運動会とか、参観日とか。私は行くが、監督は全然行かなくて。今はお父さん・お母さんの両方が来ていることとかも多いのでそういうところは違うなと思った。だけど自分だけで考えるとそんなに違いは感じたことはない。苦に感じることはないし、これが自分の仕事だと思ってやっている。
ー寮母はいつまで続けようと考えているのか
最近は「そろそろ辞めてもいいかな、そろそろ辞めてもいいかな」と毎年思っている(笑)。だがなかなかやめどきがない(笑)。誰か別の人にやってもらうのもありかなと思ったりもする。
ー今年の選手たちは
今年度はスタートが低いところからだったので、まずは予選会を目標にしてみんな夏合宿とかもやってきたと思うが、それが結構よかった。いい雰囲気でできていると思う。全日本は去年と同じくらいだったが、箱根は距離が長いから予選会みたいな感じで走ってくれると期待している。
☆この対談は、第90号(箱根号)紙面でも特集させていただいております!ぜひお手にとってご覧ください!
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