• ついに、悲願の頂点まであと一つとなった長谷部=水戸桜ノ牧高校常北校で(田上佳雅撮影)

  • リーチの長さを生かし、鋭いジャブを放つ(村上直弥撮影)

  • 相手が昨年の全日本チャンピオンでも、田中裕也は果敢に戦った。競技生活には一区切りつけるという

  • 試合を終えた長谷部らチームメイトも全力で田中を応援した(田上佳雅撮影)

いよいよ頂点へ!長谷部の下剋上は終わらない!

[ボクシング部]第88回全日本ボクシング選手権・準決勝(2018年11月18日 00時30分)

 11月14日より第88回全日本ボクシング選手権が開催されており、駒大からはOB3人を含む11人が出場している。17日には準決勝が行われた。結果は以下の通り。


【ライトフライ級】
○長谷部大地(経2) WP4-0(1R4-1、2R3-2、3R4-1、相手に1ポイントの原点)松本流星(日大)●
【フライ級】
○田中亮明(16年卒) WP3-2 坪井智也(自体校)●
【ミドル級】
●田中裕也(法3) RSC(1R2"07)森脇唯人(法大)○

※WPはWin on pointの略。判定での勝敗。
※RSCはReferee Stop Contestの略で、レフリーが試合の続行を不可能と判断した時に行う勝敗宣告のこと。


 長谷部がライトフライ級で数々のタイトルを受賞した松本流星(日大)に勝利し、リベンジを達成した。格上を相手に前のめりとなる心を必死に抑え、監督の支持通り冷静に自分の得意とする距離を保って試合を支配した。1Rでは頭を下げ過ぎた相手が減点を受け、運も味方につけた。
 今大会のテーマを「下剋上」と語った長谷部。頂上決戦の相手は今年の福井国体で敗れた重岡(拓大)。来年のリーグ戦でも対決する可能性が十分にある、チーム全体にとっても重要な一戦だ。駒大の現役選手としては2年ぶり8人目となる全日本チャンピオンをかけ、下剋上は止まらない。
 一方、ミドル級の田中が対決したのは、昨年度同級チャンピオンの森脇。相手の実力が上なのは分かっていた。田中の持ち味はどんな相手に対しても勇気ある攻めをするところ。それでここまでやってきた。ボクシングはパンチの威力の強い人が、攻撃の手数の多い人が、攻撃のスピードが速い人だけが勝つわけではない。どんな選手でも見えてくる一瞬の隙に対して、多少のリスクを負ってでも踏み込む勇気が必要となることもある駆け引きのスポーツだ。それを田中は体現してみせた。今後はリングから離れるとしている。今回見せた闘志はチームメイトの目に強く焼き付いたに違いない。


◆小山田裕二監督
「(長谷部選手の決勝進出は)難しいことよりもシンプルな攻撃、しっかりジャブを突くこと、崩さないでジャブからワンツーを上下に打ち分けるとか。そういったシンプルな攻撃を徹底してやってくれたので良かった。(サウスポーの対策をしてきたようだが)意識を持ってやってたね。決勝の相手の重岡君もサウスポーなのでそういった意識もあったかもしれない。(1Rで相手が減点を受けていたが、攻め方などは変えたか)いや、全く。とにかくシンプルに落ち着いて。(長谷部)大地も入れ込んでしまうところがあるタイプの選手なので、とにかく落ち着いてしっかり丹念にジャブを突いて、リードパンチから上下の打ち分けをする。相手が来たところでしっかりカウンターをする、それしか指示をしていなかった。それを遂行して勝利につながった。(田中亮明選手について)亮明は落ち着いていた。キャリアもあるし、自分の思っている通りにやれたと思う。相手が前に前に攻めてくる強豪なので、もう少し攻撃の数を増やせば良かったとは思うが、クリーンヒットをしっかり奪っていた。ポイントは見方で割れていたが、問題無い戦いだった。(田中裕也選手については)もう最高の試合をした。1RでRSCになってしまったけど、勇気を持ってしっかり打ちにいっていたし。相手は全日本チャンピオンだからね。それに対して臆することなく、気持ち持ってやってくれた。(競技生活には一区切りつけるようだが)それは本人の考えだからね。誰かに言われてやるものじゃないと思うし。自分の意思でやりたい者、強くなりたい者は続ければ良いと思うし、それは彼の意見を尊重して。お疲れ様でした。よく頑張りましたということで。またやりたくなるかもしれないしね。(この大会が東京五輪に向けた大会であると耳にしたが)第一段階でしょうね。ここで勝つことによって候補の一番手になって、強化合宿だったり強化選考会だったりをやっていかないといけない。来年の5月6月に開催されるアジア選手権の選考もある。(嶋田選手については)仕方ない。負けは負けなので、それを受け入れて。自分の弱いところがあるからそういう結果が出たのであって、それを受け止めて。もうここで終わる選手ではないと思うので。強くなりたいという気持ちがあるのであればもうちょっと弱いところを潰して、良い部分をプラスアルファしていくしかない。本人が一番悔しいと思う。藤山も然り。なぜ2人しか評価してもらえなかったのか、なぜ一人しか評価してもらえなかったのか。よく考えて。3人評価してもらえれば勝ちなので。しっかり自分で探って。本人たちがまた頑張りたいというのであればサポートしていきたい。(鍔田選手について)鍔田は高校の時にインターハイも出ていない選手なので。よく頑張った。トーナメントのくじ運も多少はあったのかもしれないけど、対戦した松本君は高校の頃から非常に実績のある選手で、それに対してそれこそ臆することなく、よくできること全てを出し切って頑張った。(来年のリーグ戦のレギュラー争いにも関わってくるのでは)まぁ、まだまだ力の弱い選手なので。力があまり無い選手たちが上の選手を脅かすように底上げをしていくことがチームを強化することに一番大事なこと。そういった面では鍔田の頑張りというのはチームにとっても良いこと」

◆長谷部大地
「(入場曲が流れたが)インターハイなどの全国大会では準決勝から流れる。良い方向にリラックスできるので、嬉しい。乗り気になれる。曲に関しては選曲したわけではない。会場側が選んだ。(1Rで相手が減点されていたが)ラッキーだと思ったのと、2R目には自分が頭が低くて注意を受けたので自分も取られるのかと思い、気をつけるようにした。(2R目には相手との激しいバッティングがあったが)自分の顔と相手の頭が当たって相手が頭がパックリいっていた。自分の顔がそんなに硬いのかなと思った(笑)。あの時は申し訳なかった。(3R目には相手がラッシュをかけてきたが)やはり向こうはそれまでのラウンドを取られていると思って仕掛けてくるだろうなというのはインターバルの時に思っていた。案の定やってきたのですごくやりにくかったし、相手は国際大会で活躍しているし、全国大会でもいつも決勝に進出している有名な選手なので意地もあったと思う。僕が高校生の時に負けていたので、リベンジできて良かった。1戦目からずっとサウスポーが相手で、サウスポーに対する対策を意識的にしていて、距離が近かったら、松本や重岡さんは後ろの手が上手いので、くっついてなるべくパンチをもらわないようにしていた。相手が詰めてきてもうまく対応できていたので、そこは作戦勝ちかなと思う。(明日の相手は重岡選手だが)僕の中では下剋上がテーマで、日で一つ達成できたが、ラスト一つ、気持ち良く下剋上を達成します!頑張ります」

◆田中裕也
「(リングに上がる時の心境は)あまりしないようにしていたが、相手に対する気負いの部分があったし、格上だと知っていたのでどうやって試合を運ぶか考えていた。できるだけリラックスするようにはした。(チャンピオンへの戦略は)監督にも言われたことだが、とにかく前に乗る。それをしながら全力を出し切るというのだった。自分の持っているものを全て出し切ることの2つだった。(連打を受けた経緯は)あの試合の中で自分のから攻めていって当たったパンチは無かった。相手のパンチはガードしている上からもクリーンヒットはあったけど、自分のパンチは相手の距離が遠くてクリーンヒットしたのは無かった。自分のパンチの当たる距離はあの距離しかなくて。『ここしかない』という焦りもあったところ、ああいう結果になっていた。(打ち合いは予想していたことか)自分としてはもう少し自分のペースでいけるというか、ここまで攻めてくることは無いと予想していた。やはり相手もチャンスが分かっていたからこそ攻めてきたのかなと。(今後の競技生活は)ボクシングには一区切りつけようとは思っている。ここから自分の中でゆっくり考えたい。引退も選択肢。考える時間があっても良い。(監督からは)あそこで打ち合うべきじゃなかったというのは監督の判断からしても周りから見てもそうだった。リーチも完璧に相手の距離だった。でも最後には『よくやった』と言ってもらえた」

第88回全日本ボクシング選手権大会・決勝は11時より行われ、組み合わせは、
〔ライトフライ級〕長谷部大地vs重岡優大(拓大)
〔フライ級〕田中亮明vs柏崎刀翔(自衛隊体育学校)

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