• 敢闘賞のトロフィーを持つ完山と4年生の選手たち=後楽園ホールで(駒澤大学体育会ボクシング部撮影)

  • この日をもって引退を迎えた中村(田上佳雅撮影)

  • 長谷部は今季初出場初勝利を収めた

  • 相手からダウンを2度奪った市川主将

  • カウンターを放つ若谷 今季3勝を収めた

完山が敢闘賞 チームの勝利に華を添える

[ボクシング部]第71回関東大学ボクシングリーグ戦(2018年07月14日 19時50分)

7月14日(土)、関東大学リーグ戦1部最終節、対中大戦が行われた。結果は以下の通り。

【ライトフライ級】
○長谷部大地(経2) 判定 5-0 牧野●
【フライ級】
○小川達也(営1) 判定 5-0 永田●
【バンタム級】
○市川春希(営4) ABD(2R 1"40) 松下●
●中村玄貴(営4) 判定 0-5 下永○
【ライト級】
○嶋田淳也(歴3) 判定5-0 五ノ井●
○完山隼輔(経1) 判定5-0 築●
【ライトウェルター級】
●石原照山(経1) 判定2-3 鶴田○
【ウェルター級】
●中川凌太(応2) 判定2-3 栗栖○
【ミドル級】
○若谷豪(商1) 判定4-1 新田●

※ABDとはアバンダンの略でセコンドのタオル投入による試合の途中棄権のこと。



 2ヶ月に及ぶ長き戦いも最終戦を迎えた。相手となったのは、今季最下位の中大。1部残留をかけ、負けられない戦いになった。
 ここまで、松下と中川しか出場していなかった2年生から長谷部がチームのトップバッターとして登場。「後輩が活躍していたので、自分たちも意地で戦った」と判定勝ちを収める。相手は今年度優勝校の日大のレギュラーメンバーの松本流星選手に勝ち、勢いに乗っている選手であるがゆえに警戒はしていたという。続くフライ級は小川が出場し、5-0で完勝を収めたが、距離を詰められクリンチワークが目立ったことから本人は「今シーズンで最低な試合をしてしまった」と悔やんだ。
 2人が出場するバンタム級で先に登場したのは、主将の市川。「かっこいい姿を見せたかった」と奮起し、狙いを澄ましてパンチを当て、相手から2度のダウンを奪い、途中棄権により勝利を収めた。バンタム級で次に起用されたのは中村。今リーグ限りで引退することを決めていた。「最後は監督の期待に応えたい」との思いでリングに上がる。有効打を何度も繰り出すが、相手の必死の抵抗に合い、無念の敗戦で現役生活を終えた。
 ライト級には、チームの柱となった嶋田と完山のポイントゲッターコンビが満を持して登場。相手を寄せ付けないボクシングで完勝した。完山は出場した4試合に全て勝利し、リーグを通じて敢闘賞を受賞した。
 ここからがチームの課題であった重量級。ライトウェルター級には石原が登場。初出場にして勝利を収めた前回に続こうと奮闘するが、試合への気持ちが入りすぎたことで周囲の指示への意識が薄れてしまい、闘志が空回りする形で、2-3の判定で負けてしまう。続くウェルター級の中川も同じく2-3で惜しくも破れ、今季を3戦全敗で終えた。中川は今季、リズムを変える攻撃をするという新たな課題を見出した。
 徐々に悪い流れとなる中、最後に試合を締めたのがミドル級の若谷だった。初戦こそ自身のスタイルを生かせず破れたものの、尻上がりに調子を上げ、今季通算3勝で終えた。これにより、6-3で勝利し、通算2勝3敗で5位が確定した。当初、優勝候補として挙げられていた日大、東農大、東洋大のうち、東洋大から勝ち星を得て保った1部校のバリュー。駒大が得た21個の勝ち星のうち、およそ半分の10個を1年生が獲得したというチームの若さを生かし、来年こそ悲願の優勝を狙いにいく。


1部リーグ最終順位 ( )は勝ち点

[優勝]日本大学 5勝(31) →リーグ戦5連覇
[準優勝]東京農業大学 3勝2敗(26)
[3位]拓殖大学 3勝2敗(22)
[4位]東洋大学 2勝3敗(26)
[5位]駒澤大学 2勝3敗(21)
[6位]中央大学 5敗(9)

〈最優秀選手賞〉堤駿斗(東洋大)
〈技能賞〉鈴木稔弘(日大)
《敢闘賞》完山隼輔(駒大)

◆中島成雄 総監督
「(今季を振り返って)うちは1、2年生が中心のチーム。来年は今年の階級とほとんど戦力が変わらないので、来年は期待できる。この先に全日本選手権に出場したりする選手もいるので個人戦は頑張ってもらって、チームでは来年もまた新戦力が入ってくるが、現在の選手で戦えるので良い順位にいけると思う。期待している」

◆小山田裕二監督
「(今季を振り返って)今日のライトウェルター、ウェルター級の試合が全て。判定は割れたけれども、相手に持っていかれてしまっている。良い戦いはしているけれどもまだ勝利には足りない。前にも言ったが、勝てる相手に向かって練習をしているわけではない。自分より強い相手に勝つために練習はするもの。そういう意識を日頃から持つことが大切。(今季は1年生が活躍したが)とは言ってもまだ甘いところはある。この先の大学生活は長い」

◆長谷部大地
「(今季は初出場だったが)シンプルに勝てて良かった。(今回臨んだ気持ちは)ライトフライ級を杉山(広将)(営3)さんと争っていて出ることができなかったが、今回杉山さんがけがをしたということで出場させてもらえた。そういう形で出場したのは正直悔しいが、チームとしての目標である9-0で相手をシャットアウトすることへの第一歩を達成できたので良かった。最初の階級ということでプレッシャーはあったし、今回の相手はリーグ初戦で日大の松本流星選手を倒していて、勢いのある選手だったのでビビッていた部分もあったが出る以上は切り替えて、必死でやった。(自分たちの代について)もともと全国大会で成績を残しているというわけでもなくて、今回のリーグ戦でも松下と2人しか出ていなくて、今年は1年生が活躍しているので負い目もあったが、今回の勝利でプライドや意地を見せられたかなと。(今シーズンを振り返って)このリーグ戦から本格的にスタイルを変えてきていて、これまでよりリードをとるようにしている。少しずつそれが完成してきているので、国体や全日本選手権では今以上に新しいスタイルを完成させて臨みたい」

◆小川達也
「(今季を振り返って)今日は今シーズンで最低な試合をしたと思っている。クリンチばかりでダメダメだった。でも相手から離れるタイミングで要所要所パンチを当てることができたのでそれが勝因かなと。(今シーズンを通しては)初戦勝って最終戦を勝って、真ん中の2試合は勝てなかったが、1年生でレギュラーになれると思っていなかったので、試合の経験を積めたのは良かったし、勝ちで始まって勝ちで終わる良い形で来年に向けてつなげられた」

◆市川春希 主将
「(今日のABD勝ちに関しては)狙ったパンチを当てられたので良かった。(4年生最後のリーグ戦だったが)ここで試合をするのが最後なので『かっこいい姿を見せたい』と思っていた。(主将としてこのリーグ戦を振り返って)自分はチームをうまくまとめられなかったが、そんな状態でもここまで戦えたので来年はもっともっと上位進出ができると思う。優勝ができると思うので来年がとても楽しみ。(後輩たちへ)相手をどんどん倒してほしい。僕でも倒したので。(主将として意識してきたこと)特にあるわけではないが、実戦では勝たなければというプレッシャーはあった。監督には『お前が負けたらチームも負けるぞ』と言われていたので、負けられないなという思いはあった。(今後については)国体まで現役を続けようと思っている。フライ級で臨むことを考えている」

◆中村玄貴
「(今リーグを振り返って)僕は今日で引退。最後に先輩としてかっこいい姿を見せたかったが、勝てなかったので残念。自分は全然勝てていなくて、大学に入ってからは、全国大会も全然出場できていなかったがそれでも監督は期待して起用してくれた。その期待に最後まで応えることができなくて、最後に1勝くらいしたかったので悔しい。(引退する心境は)あっけないという思いなどをはじめ、言葉にはできない様々な思いがある。7年間続けてきたので。(監督やコーチに試合後にかけられた言葉は)『最後は良かった』と言ってもらった。(今後の進路は)警察か、一般企業に入ることを考えている。残りの大学生活も楽しんでいきたい。卒業までチームもしっかりサポートしていく」

◆嶋田淳也
「(今季を振り返って)東農大戦の時の森坂さんとの試合の時は自分の力を出し切れたので満足のいく試合ができたが、その他の試合に関しては満足できなかった。今シーズンを次につなげていくために課題として、自分はパンチ力が弱いのでパワーをもっと強化していきたい。大学では2つ目標があって、一つは全国大会で優勝すること、もう一つは国際大会に日本代表として出場すること。その目標を達成するためにはこの先の国体や全日本選手権などの個人戦が勝負になってくる」

◆完山隼輔
「(今季を振り返って)とりあえず、終わってほっとしている。これまでのボクシング人生の中でもすごく濃い期間だった。というのも、精神的にも一番成長できたし、全てにおいて成長できたから。(どういうところに成長を感じたか)2週間おきに長い期間にわたって試合をするというのは、高校まで経験していた個人戦ではなかったこと。フィジカルの維持や、関東リーグという全国大会でも上位進出する選手が集まるレベルの高い世界で、誰が相手になるか分からないという環境の下で、短い期間で課題を解決したり調整してきた。団体戦ということでプレッシャーも個人戦とは違うものだし、相手も今まで経験してきた選手よりレベルも高い選手だった。そういったものを経験して成長できたかなと。(4戦4勝というのは)結果的には無敗だが、リーグ戦第4節ではけがをして出られなかった。練習で気持ちが入りすぎたのが原因。練習量や気持ちなどをコントロールする大切さを実感した。5戦全て戦い抜くことが大事なので、そこは反省点」

◆石原照山
「(今季は2戦出場したが)監督の言うことが全てなんだと実感した。今日は何もできなかった。今日は2-3だったが、本来なら5-0で勝てる相手。来年は全勝を目指して頑張りたい。(今シーズンを通しては)真ん中の週でけがをしてメンバーから外れたり、外されたことで挫折しそうな時もあったが、監督たちのおかげで1勝できたので本当に駒澤で良かったと思っている。まず1か月後に全日本選手権の予選があり、順当にいけば東海ブロック大会の決勝で今日と同じ相手と当たる。その時にはリベンジをしたい」

◆中川凌太
「(今季を振り返って)3戦3敗でダメだった。来週には個人戦の予選があるので、今回見えた課題を修正して全日本選手権に出られるようにしていきたい。(見えた課題とは)パンチをもらい過ぎてしまうところ。よく言われることだが、動きを止めてパンチを打つのでカウンターを受けてしまう。試合中で攻撃のテンポが変わらなかったことが原因だったと思うのでそこを直していきたい。(自身にとってこのシーズンは)1勝もできなかったので、ダメの一言。来年また出させていただけるのであれば絶対に勝ち越したい」

◆若谷豪
「(今季を振り返って)1年生として初めてリーグ戦を経験して、成長できたことを感じた。技術に関して向上したのは間違いないが、一番成長できたのは気持ち。最初は自分より年上の大学生を相手にすることで戦う前から気持ちで負けていたりしたが、試合を重ねるごとに戦っていける自信がついてきた。気持ちの面で負けないようになった。(自身にとって今シーズンは)結果だけ見ると3勝できたので結果だけ見ると良かった。1週間後に全日本選手権の県予選があったりするので、今回見えた課題を直して臨みたい」

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