• これまでの4年間を振り返った海田=駒澤大学で(矢萩祥恵撮影)

  • 大学初先発は1年秋季・青学大戦、「無我夢中で投げた」

  • この1年副主将として、投手陣を引っ張った

  • 最終戦終了後、最後のキャッチボール

  • 「プロへ行く気持ちで」社会人野球へ意気込む海田

海田智行~栄光と苦悩、そして新たなステージへ~

[硬式野球部]特別対談(2010年01月23日 23時58分)

 硬式野球部を引退してから約2ヶ月。大学野球から離れた今、今季中心となってチームを引っ張ってきた前幹部・林裕也(経4)、海田智行(経4)、椎葉謙(法4)にこれまでの4年間と、社会人野球とういう次のステップへ進む直前の心境を伺った。

 2人目は今季、副主将として、あるいはエースとしてチームをけん引した海田。引退してから一度も野球をしていないと笑うエースには、4年間の大学野球を終えた達成感がにじんでいた。
 2月から、卒業後に所属が決まっている日本生命野球部の寮に入る。高校の時から変わらない「強いチームを倒したい」という思いを持って、“社会人野球”という新たな舞台へ踏み出す。
※なお、本取材を行ったのは12月中旬です。

コマスポ(以下コマ):引退してから2ヶ月が経ちましたが、この2ヶ月はどんな生活でしたか?
海田智行(以下海田):とりあえず、野球してないっす。
コ マ:退寮してから一人暮らをしているようですが、いかがですか?寮生活との違いはありますか?
海 田:楽かな。でも俺けっこう暇なら(他の部員の)部屋回りしてたから、(一人暮らしは)それがないのが寂しい。
コ マ:大学野球を終えて感じていることはありますか?または充実感などは感じていますか?
海 田:充実感っていうのは、無いかな。(2部に)落としたままだし落として終わったし。悔しさってのが一番。
コ マ:1年生の初先発の時の印象は残っていますか?当時すごく強かった青学戦でしたが…。
海 田:もう何も覚えてないっすよ!無我夢中で投げてたんで。とにかく試合崩さないように。自信もって、自分の球投げるって感じ。
コ マ:2年生の時にアメリカなどへ行った時の経験は、その後どういった形で活きていますか?
海 田:関係ないっすよあんなの。経験のみ(笑)
コ マ:大場翔太選手(東洋大・現福岡ソフトバンクホークス)や巽真悟選手(近大・現福岡ソフトバンクホークス)がいましたが、球の握りについてだとか、何かお話しなかったんですか?
海 田:そういうのはちょいちょい話したけど、その人特有のものだから、取り入れるとなるとやっぱりね。まあその頃“自分最強”って思っとったし(笑)
コ マ:実際アメリカで結果も残しましたが、自信につながったりは?
海 田:いやーもう逆に自信失いましたよ(笑)
コ マ:その後のケガですね。アメリカなどへの遠征疲れが、ケガの原因としては大きいんですか?
海 田:ケガってほどじゃないっすけどね。疲れが溜まった結果、調子崩したって感じ。
コ マ:その間に何か集中してやっていたことってありますか?
海 田:とりあえず投げ込みと、走り込み。
コ マ:不調なところで得たものはありましたか?
海 田:(今までは)結構頑固でこれって決めたものはこれって感じだったけど、受け入れるようにはなったかな。
コ マ:復帰した時にそれまでと変わったところってありましたか?
海 田:復帰した時は2部ですからね。精神的にはひどかった。あとやっぱ、1シーズンで(1部に)上がらんといけないってのはあった。

コ マ:3年秋季リーグが終わって幹部に選ばれた時はどうでしたか?
海 田:秋からもう(チームを引っ張る仕事を)任されてたから。別に違和感ってのはなくて、やる気はあった。俺らで引っ張っていくって。
コ マ:副主将としてチームをどう見ていましたか?どういう風に引っ張っていこうかというビジョンはありましたか?
海 田:いまひとつ。(09年秋季が)4位なんでね。全然だめ、でしょ。基本的に自分はピッチャー任されて。ピッチャーは自分抑えればいいやでいいと思っとったし、ピッチャー一人ひとりがそうなったら(失点は)0点だし。
コ マ:副主将ってという立場は大変でしたか?また、何が一番大変でしたか?
海 田:大変だったけど、経験としては良い経験できた。下級生(の世話)もあるからって4年生野放しにするとぐずり出すというか(笑)一番大変なのは自分のこと考えられなくなったらちょっときつかった。たまに自分のやりたいこと抑えて投手陣としてやらなきゃいけないことやらないとだし…っていうのがあったかな。

コ マ:新しい幹部が決まりましたけど、何か期待することは?
海 田:期待?もうそれは1部じゃないすか?
コ マ:一人ひとりには何か?
海 田:やっぱ加茂(国3)がね、ずっと投げとるし、まとめんといけん立場になってどうなるかが楽しみ。
コ マ:上村新選手(営3)と秋季最終戦が終わった後にお話してましたが、どんなことを?
海 田:色々…考えをね、少し。…別にない!(笑)あいつが「お疲れ様でした」みたいなことを言ったから…そんなん言われたら、照れるけん(笑)「おう」みたいなこと言ったかもしれないけど覚えてない(笑)
コ マ:高校時代も対戦があって、大学でも3年間バッテリー組んだ上村新選手ですが、どういう存在ですか?
海 田:まあそうなるのも縁だし、援護ももらったかな。

コ マ:今春はプロに行きたいと言っていましたが、社会人野球に決めた時の心境はどんなものでしたか?
海 田:(プロを)諦めたって感じではないけど、それが自然の流れかなって思うことにした。なんか、そうしたら周りがすごい見えるようになって。それまではもう…プロでいっぱいになってて(笑)(プロに)行かないといけないって思ってたけど、今は行かなくてよかったなって思ってるし、大学から行ってどうだったかなーって思う。
コ マ:同じリーグで大学からプロに行った中田亮二選手(亜大)とかいますが、そういう人をどう見ていますか?
海 田:頑張れよって。活躍してほしいし。2年後…待っとけよ、みたいな感じかな。

コ マ:野球人生の中で、社会人野球はどういう位置づけですか?
海 田:ステップっていうのもあるけど、お金もらってやるわけだし。今までみたいに“できるのが当たり前”じゃないし、できない人もいるし。そういうのもあるんで、プロ野球だと思っていく感じはあるかな。関東より関西のが(社会人野球のレベルが)低いって言われてるけど、それもあって関西行きたかったし。
コ マ:あえて「強いところを倒す」みたいな感じですか?
海 田:だって関東とやりたいじゃん。俺高校の時もそれあったよ。広陵だの、如水館だの倒す、みたいな。
コ マ:如水館とは試合しましたか?
海 田:したよ、2年の夏。サヨナラホームラン打たれた。俺高2の夏から泣いてない。涙抜かれた(笑)
コ マ:その時いっぱい泣いたんですか?
海 田:やばかった。だって3年おるじゃろ?俺3年と超仲良くて。(試合で)くそでかいの打たれて(笑)うわ、終わんの?みたいな感じ。
コ マ:その試合は最初から一人で投げてたんですか?
海 田:いや。一応エースっていたんだけど、俺その夏はめっちゃ調子良くて。5回くらいから投げて、9回に…。(ホームラン)打った人が、一こ上なんだけど京都産業大学におって。で、平塚でやった(日米大学選手権代表の)選考合宿で対戦したんよね。あの時ちょっと感動した(笑)おお、これはと思って。
コ マ:その対戦はどうだったんですか?
海 田:(高2夏に)打たれた球で三振取った。これ面白いでしょ?
コ マ:高校から成長した部分はありますか?
海 田:高校の時から、大学2年の夏までは、やればやる分力つくし、上手くなったって思えるようになった感じ。それが主に、大学生になってからは工夫というか、自分の体と話し合ってじゃないけど、自分で研究した。

コ マ:日本生命に対するイメージはどうですか?
海 田:そんな入社試験みたいなこと聞かんで…(笑)歴史があるしね。全国行ったくらいじゃ喜んでないし。一番上目指してるチーム。
コ マ:大島洋平選手(08年度卒・日本生命-中日ドラゴンズ)とお話したりしました?
海 田:うん。「じゃあな」とか言ってた。(海田が入って自分はチームを出ていくから)「悪ぃ」とか言って(笑)
コ マ:大島さんと一緒に野球したいって気持ちはありました?
海 田:一緒にってか対戦したいかな。
コ マ:社会人野球での目標は何ですか?
海 田:まず1年目からどんどん投げる。2年しかないからね、だから1年目から。

◆海田智行(かいだ ともゆき)
経済学部経済学科4年
1987年9月2日生まれ
広島・賀茂高校出身(05年夏県大会8強)
178cm 80kg
1年春:1試合 0勝0敗 投球回数2/3 自責点2 防御率30.0
1年秋:8試合 2勝2敗 投球回数49 1/3 自責点11 防御率2.01
2年春:10試合 5勝4敗 投球回数60 2/3 自責点23 防御率3.41
☆第36回日米大学野球選手権大会全日本大学選抜
☆ロッテルダム・ワールドポート・トーナメント2007東都大学野球選抜
2年秋:5試合 0勝2敗 投球回数16 自責点8 防御率4.50
3年春:8試合 0勝1敗 投球回数20 1/3 自責点5 防御率2.22
3年秋:8試合 4勝2敗 投球回数59 1/3 自責点12 防御率1.82
4年春:8試合 3勝2敗 投球回数44 1/3 自責点6 防御率1.22
4年秋:11試合 3勝3敗 投球回数48 1/3 自責点21 防御率3.91
4年次は副主将としてチームをけん引した。

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